一番の味方だね…

「龍ちゃん!!」


私は、そう言っていた。


「警察行きますか?」


「チッ、もういいよ」


男は、舌打ちをしていなくなった。


「大丈夫?」


「何でいるの?仕事は?」


私の言葉に龍ちゃんは、笑った。


「ハハハ、何個も聞くね!たまたま、終わったんだよ。で、ほら!」


そう言って、龍ちゃんは二駅先にあるフルーツサンドイッチを私に渡してきた。


「これ、買いに行ってたの?」


「うん。で、たまたま!ここに降りた」


そう言って、龍ちゃんは笑ってる。蓮見君の時も思ったけど、龍ちゃんは誰かに指示されて来てるような気がした。でも、それが私を守る為だとしたら…


龍ちゃんは、やっぱり凄く優しい人だと思った。


「もう、本当に助かりました。龍次郎さん、ありがとうございます」


理沙ちゃんは、そう言って深々と頭を下げている。


「そんな、そんな。俺は、何もしてないよ」


「充分してますよ!私だけだったら、凛ちゃんを守れてなかったです」


「そんな大袈裟だよ」


龍ちゃんは、そう言って理沙ちゃんに笑った。


ガタンゴトンー


電車がやってくる。私達、三人は、電車に乗り込んだ。


「松田さんとは?会えてる?」


「はい、まだ。会えてます」


龍ちゃんは、理沙ちゃんに話しかけている。


「よかった!まだ、会えてるなら」


「でも、もうすぐしたら向こうに行っちゃうから…」


「それは、寂しいよね。でも、夢が叶うって素晴らしい事だよ」


龍ちゃんは、ニコニコ笑う。


「龍次郎さんの夢は、何ですか?叶ってますか?」


理沙ちゃんの質問に、龍ちゃんは後頭部をポリポリ掻き出した。


「それ、聞いちゃいます?」


その言葉に、理沙ちゃんは「はい」と笑った。


「そうですか!じゃあ、言いますね」


龍ちゃんは、深呼吸をして吐いた。


そして、「俺の夢は、凛です」と言った。


「えっ?」


私は、驚きすぎて声がうわずった。


「変な声だしたよ?」


龍ちゃんは、そう言って笑う。


「あのー。どういう意味ですか?」


私と龍ちゃんを交互に見ながら、理沙ちゃんは尋ねる。


「ごめんね。わかりにくかったよね」


龍ちゃんは、理沙ちゃんに申し訳ない顔をしてから、こう言った。


「俺の夢は、凛と一緒にいる事なので!もう、叶ってます」


「それが、夢だったんですか?」


私は、目を見開いてパチパチさせながら龍ちゃんを見ていた。


「はい!そうですよ。凛と夫婦になる事が夢でした。なので、今も夢の中にいるようです」


ニコニコ笑う龍ちゃんを見つめながら理沙ちゃんは、「素敵な夢ですね。凄いです」と言って笑った。


「叶えたい夢は、人それぞれですね」


龍ちゃんは、そう言いながら理沙ちゃんにニコニコ微笑んでいた。


龍ちゃんの夢が私だって事を私は初めて知った。でも、その言葉が、何故か凄く嬉しくて堪らなかった。


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