美沙さんの話を聞く…

美沙さんは、テープに触れながら不適な笑みを何度も浮かべながらこう話し出した。


「SNOWROSEは、売れるのかな?」


美沙さんの言葉に理沙ちゃんは、「たくむんの事を好きじゃないの?」と言った。


「拓夢の事は、愛してるわよ」


「だったら、こんな事…」


「愛してるからこそ、時には厳しさが必要でしょ?」 


「厳しさ?」


美沙さんは、そう言うと地面に座りだした。


「拓夢はね、世間一般でいうと悪い事をしてるの!わかってるよね?皆月凛さん」


そう言われて私は、美沙さんを黙って見つめる。


「だからね、私がね!みんなの代わりに鉄槌をくだしてあげなくちゃね!」


「どういう意味?」


理沙ちゃんの言葉に美沙さんは、おかしそうにケラケラと笑いだした。


「あー、ごめん、ごめん。掲示板あるでしょ?あれ、作ったの私」


そう言った後に、美沙さんは、口を押さえて笑いだした。


そして、「仲間は、たくさんいるんだー。だから、まっつんや!かねやんや!しゅんの事も書かれたの。みんな繋がってて!みんなSNOWROSEに天誅したいって」


そう言って、美沙さんは笑って笑って笑い続けた後…。


「ねぇー。凛さん」


「はい」


「拓夢を私にいい加減返してくれない?」


と言った後で、彼女は続けて私に…。

でも、その言葉が耳に入ってこなくて私は泣いていた。


「酷い!そんな事!何で、凛ちゃんに言うのよ」


理沙ちゃんの叫び声で、頭がやっとクリアになった。


「もう二度と拓夢に近づかないで!」


「そんなの美沙ちゃんが決める権利なんてない」


「あるわよ!約束守れないなら、SNOWROSEを潰すから」


そう言って、私を見つめる美沙さんの顔は、悪魔のように見えて…。彼女は、本当にSNOWROSEを潰す気がしていた。


「もう二度と拓夢には、会わないから」


「凛ちゃん」


「でも、撮影とかがあったら、それは…」


私がうまく続きを話せないでいると美沙さんは、「個人的に会わないでくれるだけで、充分よ」と言って笑った。


「そう言ってくれて、ありがとうございます」


「凛ちゃん、お礼なんか言わなくていい!」


理沙ちゃんは、私の手を握りしめながらそう言った。


「ううん。悪いのは、私だから…」


そう言って、私は理沙ちゃんを見つめた。


「わかってくれたなら、もう用はないわ!」


美沙さんは、そう言うと立ち上がって服についた砂を払った。


「美沙ちゃん、酷いよ」


「酷い?酷いのは、私じゃなくて不倫なんかしてる。凛さんと拓夢でしょ?」


「そんな事ない」


理沙ちゃんの言葉に、美沙さんはこう言い放った。


「あのね、お子ちゃまにはわからないかもしれないけど。どんなに綺麗な言葉を並べても、どんなに純愛でも、不倫は不倫でしかないから…。そう言われるのが嫌なら、離婚すれば?出来る?凛さん?」


そう言われて、私は首を横に振って泣いていた。


「ほらー、無理だって言ってるじゃん」


美沙さんは、そう言っておかしそうに笑い続けた。


「もういい!行こう、凛ちゃん」


「えっ、うん」


理沙ちゃんは、私の腕を引っ張って公園から連れ出した。



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