龍ちゃんを身体中が…【カクヨム版】

龍ちゃんは、手を繋いでくれる。


「タクシーで帰ろうか?」


「うん」


龍ちゃんの言葉に私は頷いた。病院の近くにまで戻るとタクシーがたくさん停まっていた。乗り込んで、家まで連れて帰ってもらった。


「ありがとうございます」


「はい、お釣」


家の前について、龍ちゃんはお釣を受け取ってタクシーを降りた。私と龍ちゃんは、家に入る。


玄関の鍵を開けて、家に入った瞬間。私は、龍ちゃんに後ろから抱きついた。


「どうした?」


その優しい声に泣いていた。


「どうした、凛?」


「龍ちゃん、私…ごめんね」


「何だよー。急に俺が男前に思えたか?ハハハ」


龍ちゃんは、そう言って私の手を握りしめてくる。


「そうかも知れないね」


「そっか、そっか!凛が風邪ひいちゃうから入ろうか」


「うん」


私は、龍ちゃんから離れる。


「じゃあ、お風呂入れてくるわ」


そう言って、龍ちゃんは家に入っていった。

私は、それを見送って玄関の鍵を閉めて家に入る。龍ちゃんは、私を信じてくれていたのに…。私は、龍ちゃんを信じなくて…。勝手に龍ちゃんが浮気したんじゃないかとか思い込んで…。別居したり、家出したり…。それなのに、龍ちゃんは受け止めてくれた。


「お風呂沸かしたよ!どうした?暗い顔して」


龍ちゃんが優しく覗き込んできた顔を見つめる。


「凛は、笑顔が似合うよ」


「キスして」


私は、ワガママを言った。


「えっ?いいよ」


龍ちゃんは、優しく唇を重ねて離す。


「そんなんじゃなくて、もっと…」


涙がボロボロ流れて、床に落ちてくのが見える。


「凛…わかった」


龍ちゃんは、私の唇に唇を重ねるとさらに深いキスをする。


「んっ」


皆月龍次郎が欲しい。そう私の身体中の細胞が言っているのを感じる。


「ヤバい!お風呂入って寝ようか」


唇を離して、龍ちゃんは笑った。


「しよう」


私は、龍ちゃんの手を自分の胸に持っていく。


「俺じゃ、星村さんみたいには出来ないよ」


その言葉に私は、首を横に振る。


「凛の絶望を俺には拭えないんじゃないかな」


私は、龍ちゃんの言葉にまた首を横に振った。


「お風呂入ろうか」


龍ちゃんは、誤魔化すように笑う。


「蓮見君にされた事の上書きして」


「えっ?」


「私、龍ちゃんになら出来るよ」


涙で龍ちゃんが滲んでる。龍ちゃんは、困ったように眉を寄せてる。それでも、「わかったよ」って言って私の涙を指で拭ってくれる。


龍ちゃんが優しい事を知っていながら私は利用してるだけ…。それでも、龍ちゃんは私に優しくしてくれる。


龍ちゃんに手を引っ張られて洗面所に来る。丁寧に服を脱がされて、お風呂場に入る。お互いの体を洗いあって湯船に入る。向かい合って足を絡ませてる。それからは、ハッキリとは覚えていないぐらいに時間が進んだ。気づいたら、ベッドに横になっていて私は龍ちゃんのそれを丁寧に触っていた。


「凛、無理しないで」


「大丈夫」


そう言った後は、もう何もかもがわからないぐらいに過ぎていった。真っ白とは違うけど…。龍ちゃんを身体中の細胞が求めた結果なんだと思った。


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