連絡と和解

いつの間にか、眠っていた私は、朝を迎えていた。龍ちゃんと朝御飯を食べる事も出来ていなかった。今日で、拓夢の家から帰宅して3日が経っていた。私は、そろそろ、龍ちゃんと話し合いをしたいと思っていた。日中は、いつも通りやる事をした。夕方には、龍ちゃんと一緒に食べる晩御飯を作り、それが終わって私はダイニングの椅子に腰かけた。


ブー、ブー


座ったと同時にスマホが鳴った。


「もしもし」


『もしもし、凛』


「うん」


『また、掲示板が立って…。凛と一緒にいる写真が載せられてたんだ。一応、モザイクはかかってるんだけど…。迷惑かかったら、ごめんな』


「私は、全然いいよ!拓夢は?デビューとかに影響しない?不倫を叩かれたりしない?」


『今、相沢さんが動いてくれてる。だから、大丈夫だと思う。凛は、俺と不倫してなかったって思って堂々と過ごして』


「そんなの…」


『凛なら出来るよ!大丈夫だから』


「ごめんね。私が、あの日拓夢に会いに行ったから…。ごめんね。私のせいで」


『謝らないでよ!俺が、凛を求めた結果だから!あっ、ごめん。まっつんが来たから、切るわ!じゃあ』


「うん」


拓夢との電話が切れた。


ガチャ…。


「ただいま」


扉が開いて、龍ちゃんが帰ってきた。


「おかえりなさい」


「待っててくれたんだ」


「話し合いしたくて…」


「そうだな!ずっと、このままってわけにはいかないよな」


そう言って、龍ちゃんは着替えに行った。少しして、戻ってくる。


「龍ちゃん、色々知ってるんだよね?」


「何の事?」


「私がしてた事、色々」


龍ちゃんは、私の言葉に「知らない」と首を振った。


「嘘つかないで」


「嘘なんかついてないけど…」


龍ちゃんは、立ち上がってキッチンに行くと黒豆茶をいれて戻ってきた。


「わかってるのに、嘘つかないでいいよ!私、音声聞かされたから知ってる」


感情きもちが抑えられなくて、爆発しそうだった。


「その音声で、俺、酷い言葉言ってただろ?」


龍ちゃんは、そう言うと黒豆茶をゴクゴク飲んだ。私は、泣きながら首を縦に振る。


「俺も凛を傷つけた。だから、お互い様だな」


龍ちゃんは、やっぱり優しい。


「それに、俺、あの子に告白されてキスされそうになったんだぞ!断ったけどさ…。だから、お互い様」


「離婚しないの?」


龍ちゃんは、私の隣にやってきて私を抱き締めてくる。


「正直、触らないでって言われたのはショックだったし、家庭内別居になったのもショックだった。だけど、どっちも離婚する理由にはならないだろ?少なくとも、俺はならない」


「龍ちゃんは、優しすぎるんだよ」


「優しい所が好きだって言ってくれなかったっけ?」


「そうだったかな…」


「ハハハ。少なくとも俺には、凛が必要なんだ。だから、俺が死ぬまで付き合ってくれない?」


その言葉に、私は龍ちゃんを強く抱き締めていた。

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