駅前のカフェ

駅前のカフェについた。


「ここ」


「素敵なカフェだね」


「だろ?大きなチェーン店ではないみたいなんだけど…。都会あっちにも店舗あるみたいで」


「離れてても、同じ味が食べれるって事?」


「そうなるね」


【アンジェロ】と書かれた看板がついている。


「天使って意味らしいよ!ここの食パンが天使のように真っ白だからだって」


「真っ白なの?」


「そう!ミミまで真っ白らしい」


そう言って、拓夢は私にスマホを見せてくれる。


「本当!真っ白だね」


「だろ?この食パンのついてるモーニングがめちゃくちゃ上手いんだって」


「食べた事ないの?」


「モーニングは、ないんだよ!パンは、買った事あるんだけど」


そう言って、拓夢はお店の扉を開いた。


「いらっしゃいませ」


私と拓夢は、店員さんに席に案内される。


「ご注文は、お決まりでしょうか?」


「同じのでいい?」


「うん」


「えっと、モーニング二つで」


「お飲み物は、どうなさいますか?」


「アイスコーヒー」


「私は、アイスミルクティーで」


「かしこまりました。ご注文、確認させていただきます。モーニングセットかお二つ、お飲み物がアイスコーヒーとアイスミルクティーでよろしいですか?」


「はい」


「少々お待ち下さい」


店員さんは、そう言ってお辞儀をしていなくなった。


「凛」


「何?」


「俺と会えなくなって辛くなったり悲しくなったら、ここに来てみてよ!俺も、辛くなったり悲しくなったら向こうのお店に行くから」


「わかった」


拓夢は、そう言って笑ってくれる。この先、拓夢に会わなくなったら…。


ここに来るのかな…私。


「凛……連絡してくれていいから」


「わかった」


「俺も、連絡するから!ちゃんと…」


「うん」


芸能人になる拓夢…。簡単に連絡なんか出来なくなるよね。


「今日は、そんなの忘れて楽しもう」


私の悲しみに気づいたのか、拓夢はそう言って笑った。


「うん」


今日が、こんな風に過ごせる最後なんだ。それなら、楽しまなくちゃ!気持ちを切り替えて、笑った。


「お待たせしました」


店員さんが、モーニングを持ってきた。


「アイスコーヒーの方?」


「はい」


「どうぞ」


そう言って、店員さんは拓夢に渡している。


「ごゆっくりどうぞ」


店員さんは、お辞儀をしていなくなった。


「本当に、真っ白だね」


「だろ!」


私は、お皿の上にあるパンを見つめながら言った。


「天使って、このパンの事なんだねー」


「このパンは、偶然出来たらしい。それから、試行錯誤をして常に作れるようにしたんだって!何かの雑誌に載ってた」


そう言いながら、拓夢は私を見つめる。


「凄いね」


「うん。凄いよな」


私は、拓夢とパンを交互に見つめながら、そう言った。


「食べようか」


「うん」


『いただきます』


私と拓夢は、そう言って食べ始める。

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