凛から伝わる【カクヨム版】
俺は、凛の髪を丁寧に流した後、頬に手を当てる。
「凛と初めてあった日、凛の話してきた言葉の温度が調度よかったんだ。俺と同じ温度だった」
凛は、俺の手を握りしめる。
「この人を知りたい。そう強く思った」
凛は、ポロポロと涙を流してきた。
「今日の蓮見との話で、俺に言えない事があるんだろ?」
凛は、目を伏せる。
「凛の言葉の温度が違うから…。嘘ついてるってわかるから…。だけど、聞かないよ」
俺は、そう言って凛の唇を親指でなぞる。
「凛が言いたくない事を俺は、この先も聞かない。それに、今の凛は何かを守ろうとしてるみたいだ!それが、旦那さんなのか、俺なのか、自分自身なのか…。わからないけれど…。凛が正しいと思う事をして欲しいから」
凛は、俺を見つめる。憂いをおびた眼差しを向けている。
「凛、俺ね…。苦しみながらもがきながら生きるよ。これから先、一生そうしていく。それが、凛の旦那さんへのし…」
最後まで、話す前に凛は俺の唇に触れる。最後まで、言わせてもらえなかった。凛は、俺の言いたい言葉をちゃんとわかっているようだった。お互いの言いたい事がこの指から伝わってくるようだった。
凛は、恍惚な表情を浮かべながら、俺を見つめる。俺の体をビリビリと電気が走り抜ける感覚がする。俺も凛を見つめる。何も言わなくても、今、同じ顔をしているのがわかる。
お互いに口から手を離した。
「凛……愛してる」
「拓夢…」
凛が次の言葉を話す前にキスをする。
「んっ」
俺は、凛のそこに手を持ってく。唇をゆっくり離した。
「ダメ」
「理沙ちゃんが来るよ」
俺は、そう言って触れる。
「だから、ダメ、拓夢」
俺は、触れるのをやめる。
「帰ったらしよう」
そう言って、意地悪を言って笑った。
「このまま?」
「何が?」
俺は、ボディーソープを手に取って、凛の手に置いた。
「ほら、洗って上がらなきゃ!」
その言葉に、凛は俺を見つめている。中途半端に終わったのが、どうやら嫌だったらしい。困った顔をしながらも、体を洗い始める。
「怒った?」
「怒ってる」
凛は、そう言ってシャワーで体を流し始める。
「俺にもしていいよ」
俺は、凛を見つめてそう言った。
「上がるからいい」
「待って、やって」
俺は、凛の手を掴んだ。凛は、それに触れる。優しく触れるから。もっと、触られたくなる。もっとして欲しくなる。
俺は、凛の手を握りしめる。凛は、理解したように手を離した。
「はい、手洗って」
俺は、またボディーソープを凛の手にのせる。凛は、手を洗ってる。
「先にあがるね」
「どうぞ」
俺は、そう言って凛に笑いかける。
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