大切にしたい時間【カクヨム版】

俺は、昨日みたいに凛を後ろから抱き締めていた。


「これ、好きだよ」


凛は、ニコニコ笑いながら、お皿を洗ってる。旦那さんにもしてって言うのかな?


「よかった」


俺は、凛の両手に手を重ねる。


「洗いにくいよ」


「お皿ちゃんと持たなきゃ割れるから」


凛は、そう言うとお皿をちゃんと持ってる。俺は、凛のスポンジを持ってる手に手を重ねて洗う。


「あのね…」


「うん」


「智とまっつんが知ってたんだ。まっつんの母親との事」


「えっ?」


「だから、昨日落ち込んでたんだ」


「そんな、どうして」


「音声聞かされたんだよ。智に…。あれは、多分本物」


「細工してるんだよ!どうにか、出来るんだよ」


凛は、そう言って俺の顔を涙目で見つめてくる。


「どうかな?」


俺は、手を伸ばしてお湯を出して泡を流す。凛は、スポンジを置いた。


「洗って」


「うん」


凛は、お皿を流してくれて、俺はそれを受け取って食器置きに右手だけで置いていく。


「凛、愛してる」


「うん」


お皿を洗い終わった凛を俺は、自分のもとに向かせる。


「まだ、手が濡れてるから…」


「気にしない。俺だって濡れてるから」


そう言ってから、俺は凛の唇にキスをする。


「んっ…」


「エロいし、可愛い」


「もう…」


「お風呂上がったらしよう」


凛は、首を縦に振って頷いてくれる。俺は、凛から離れて風呂のスイッチを押した。お風呂が沸くまでの間、凛を抱き締めてイチャイチャする。


「凛、あのさー。俺」


「うん」


「凛の事、凄い好きだよ」


「ありがとう」


凛を後ろから抱き締めて肩に唇を当てる。


「拓夢、私、この日々を忘れないから…」


「俺も、忘れない」


【お風呂が沸きました】


音が流れて、俺と凛はお風呂に入りに行く。いつも通りにお風呂に入って、上がる。


「凛、行こう」


まだ、髪の毛を乾かしていなかったけど俺は凛を引っ張っていく。途中、二人で、水を飲んでから歩く。


「拓夢」


ベッドに凛を寝かせて、いつものように凛と愛し合う。体は、全部の流れを覚えているから不思議だ。もう、言わなくても俺は凛の中に愛を注ぐタイミングさえも間違えなかった。


「髪の毛乾かしてあげる」


「うん」


流れ作業みたいに、綺麗にしてから立ち上がる。

俺は、凛と洗面所に向かった。パンツを履いて、手を洗ってから凛の髪を優しく乾かした。並んで、歯を磨く。


「寝ようか」


「うん」


凛と一緒にパジャマに着替えてベッドに行く。


「おやすみ」


「おやすみ」


俺達は、横になった。凛が来てから、電話が鳴らないとスマホを見なかった。俺は、目覚ましをかけて眠りについた。凛との時間を大切にしたい。ただ、それだけだった。

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