ずっと、こうしていたい

「うまい」


「よかった」


凛は、そう言ってニコニコ笑ってる。


「凛は、天才だな」


「大げさだから…」


「大げさでいいんだよ!本当に、凛は何でもうまいよ」


「ありがとう」


凛は、そう言いながら笑ってる。俺は、スプーンに変えてシチューを飲む。


「うまっ」


「よかった、嬉しい」


「これ、どうやって作ったの?市販のルー、なかったよな?」


「これは、小麦粉とバターと牛乳で作ったんだよ!」


「凄いな!うまいよ、本当にうまい」


「大げさだって」


「大げさじゃない。本当だから…。全部、本当だから…。俺の気持ちも、全部」


「ありがとう」


本当は、ずっと一緒にいたいって言いたい気持ちがあった。でも、言えなかった。凛がいたいのは、俺じゃなくて…。龍ちゃんなのだから…。ビールを開けて、俺はグラスに注いだ。


「飲む?」


「うん」


俺は、凛のグラスにも注いであげる。


「明日は、何する?」


「明日、卵買ってくるね」


「うん」


「それと、理沙ちゃんとここで会ったら怒るよね?」


「別に構わないよ!人が入るのとか嫌じゃないから…」


「ありがとう」


凛は、そう言って笑ってビールを飲む。


「理沙ちゃんと会うって約束したの?」


「うん。昨日、あんな感じで帰ったから…。お礼も言いたいし、話しもしたいって送ったら…。明日、会おうって事になって…。それで、場所どこにしようかなーって悩んでたの」


「いいよ!うちで会いなよ!ゆっくり、話せばいいよ」


「ありがとう。本当に、拓夢のお陰で私、救われてる」


「まだまだだよ。まだまだ、俺は凛を助けられていない」


凛は、その言葉に首を横に振った。


「もっと、ちゃんと助けられるようにしたい」


「充分だよ」


凛は、そう言って笑った。


「旦那さん、心配してない?」


「メッセージは、ちゃんと送られてきてるよ」


「返信は、してる?」


「スタンプだけだけど」


「家庭内別居の時も、メッセージで?」


「うん。今から帰るからとか、家の鍵開けるからとか、メッセージが来るから、会わないように二階に上がったりしてた。何か、引きこもりみたいだよね」


そう言って、凛はシチューを食べる。


「やっぱり、優しい人だよな。龍ちゃんは…」


「そうだね。龍ちゃんは、本当に優しい人だと思うよ。今日だって、服持って行ってないけど風邪ひいてないかーってはいってきたから」


「凄いな…。俺なら、落ち込んで連絡出来ないな」


「私もそうだよ。だけど、龍ちゃんは昔からそうなの。空気読めないってのもあるのかな?付き合ってる時にね、次の日映画の約束してたんだけど…。前の日、電話で大喧嘩したの!なのに、朝10時に迎えにくるんだよー。インターホン鳴らして、母親に、凛さん、いますか?とかって言っちゃって」


そう言って、凛はニコニコと楽しそうに話している。


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