何、食べる?

凛は、早く帰ってきた。


「ゆっくりでよかったのに…」


「いいの」


「持つよ」


「ありがとう」


俺は、袋を持った。


「拓夢、何食べたい?」


「凛が作るのなら、何でもいい」


「うーん、困る」


「そんな顔しないで」


凛は、眉を寄せて考えている。


「ごめん。何しようかなー」


「何でもいいよ」


俺は、そう言って凛に笑いかける。


「じゃあー、ロールキャベツ食べたいから、それにしよう」


「いいね!美味しそう」


俺と凛は、駅に戻ってきた。


「切符、買ってくるね」


凛は、そう言っていなくなる。いつまで、いてくれるのかな?俺は、ずっといて欲しいんだけどな…。


「はい」


「ありがとう。後で、返す」


「いいよ、別に」


そう言って、改札に歩いて行く凛についていく。ホームに降りると電車がやってきた。


「帰りなさいって言ってるみたいだよね」


凛は、そう言って俺を見つめる。


「そうだな!本当、そんな感じだ」


俺は、凛の考え方が好きだ。凛と電車に乗る。


「拓夢は、都会あっちに行く回数が増えるんだよね」


「あー、そうかもな」


「こないだ理沙ちゃんとオムライス食べに行ったんだよー。もう、圧倒されちゃった」


「そうだよな!確かに、全然違うよな」


「そうそう」


凛は、窓の外の景色を見つめてる。そして、「私は、過去の人になるんだよね」と小さな声で囁いていた。


「ならないよ」


ちゃんと聞こえていて、俺は小さな声で、そう言った。今すぐ抱き締めてキスをしたい気持ちをグッと堪える。たまに、人がいるのにキスしたりしてる人見るけど…。ああいうの俺には出来ない。俺のマンションがある駅で降りる。


「スーパー寄って帰ろう」


「うん」


俺と凛は並んで歩く。どうするべきか、どうしたらいいのか、今は何も思い付かなかった。ただ、俺は凛といるのが幸せだった。スーパーについて、カゴをカートに乗せる。あの日みたいで嬉しい。凛は、迷わず食材をカゴにいれていく。俺は、それを見つめていた。結婚って、こんな感じなのかな?


「終わったよ」


凛の声にハッとしていた。


「レジに行こう」


「うん」


「俺が出すから」


「ありがとう」


レジに持っていくと店員さんが、商品を売ってくれる。


「袋は、どうされますか?」


「お願いします」


「二枚、おつけしますね」


「はい」


店員さんは、二枚レジ袋をつけてくれる。俺は、お金を払ってカートをひいていく。凛と一緒に商品を袋詰めする。楽しくて、顔がにやけてきそうだ。


「持つから」


「ありがとう」


詰め終わった袋を俺は、持つ。凛は、カートとカゴを返している。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る