社長

「Artemisのファン達は、SNOWROSEのデビューをよくは思わない。実際、私は相沢からSNOWROSEのイベントの終わりに掲示板に色々書かれていた話を聞いている。これから先も、ある事ない事、書かれるだろう。嫌なら、今ここで帰って欲しい。どうするかな?」


社長は、俺とかねやんを見つめる。まっつんとしゅんは、それでもやると言ったのがわかった。


『やります』


せーのと合わしたわけでもないのに、かねやんと俺は同時にそう言っていた。


「そうか、わかった。相沢、後は頼むぞ」


「はい」


「これからのSNOWROSEを楽しみにしてるよ!それと、この先どんな事を書かれても…。気にせずにいなさい。さっきも話したように、ArtemisのファンはSNOWROSEをよく思っていない。だから、仕方ない事だ。君達は、君達の目指す音楽を続けなさい」


そう言って社長さんは、俺達に笑いかける。


「君達が活躍するのを楽しみにしてるよ!それじゃあね」


『ありがとうございます』


社長さんは、俺達一人一人の肩をポンポンと叩いてからいなくなった。


「もう、肩の力抜いて座っていいよ」


相沢さんの言葉に、俺達は座った。


「あの掲示板は、削除してもらえたから安心して」


「ありがとうございます」


まっつんの言葉に相沢さんは、「それが仕事だからね」と笑ってくれた。


「それじゃあ、契約書を作ってきたから、一人、一人よく読んでサインしてくれるかな?」


そう言われて、俺達の前に紙とペンが置かれる。


「そこに書いてる通り、ギャラで揉めないようにこっちとしては出来るだけ全員で収入をわける方がいいと思うんだ。みんなは、どう思う?」


「確かに、一人でもみんなでもSNOWROSEで動く事になるんですよね」


「そうだね」


「俺は、折半でいいかな!みんなは?」


「俺もいいよ」


「俺も…。拓夢は?」


「構わないよ」


俺達の言葉に相沢さんは頷いていた。


「Artemisは、折半で揉めたからね!よかったよ!」


「どうしてですか?」


俺の言葉に、相沢さんは顎に手を置いて話だした。


「Artemisはね、ボーカルのトーゴとドラムのショウの人気が凄まじいバンドでね。特にトーゴは、プライドが高くて自分のお陰でバンドが売れてるって勘違いしていた。こちらとしては、Artemisの人気は、トータルバランスだと思っていたから折半の話をしたんだ。そしたら、トーゴが怒ってね!何もしてない奴らと折半は嫌だと言い出したんだ」


相沢さんは、そう言いながら眉毛を寄せている。


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