憂鬱な朝
有給を消化しながら、家で凛への思いをぶつけてるうちに三日間は、あっという間にやってきた。あっ!そう言えば管理人さんが、一度業者を連れてやってきた。でも、部品が足りないからまた後日改めてやってくると帰って行った。俺は、朝から憂鬱だった。
あの掲示板の行方と智の話を嫌でも思い出したから…。
「行くかー」
スーツを着て、家を出る。まじで、憂鬱。
鍵を閉めて、駅まで歩く。切符を買って、改札を抜ける。ホームに降りたら、タイミングよく電車が来ていた。
「浮かない顔だなー」
その声に俺は、顔をあげた。
「ビックリすんなよ」
「かねやんも、今から?」
「うん、今から」
偶然目の前の車両にかねやんが乗っていた。俺は、その車両に乗り込んだ。
「もう、行ったのかと思った」
「しゅんとまっつんは、行ってるけど…。俺は、今になったわ」
「そっか」
プシューと扉が閉まって電車が動き出した。
「智かもってまっつんに聞いたんだろ?」
「うん」
「疑いたくないんだろ?拓夢」
「当たり前だよ!智は、一番喜んでくれてるって」
「どうかな?」
かねやんは、そう言って窓の外を見てる。
「そんな風に言わないでくれよ」
「ごめん。でも、智しか知らない事もあったし。拓夢のは、美沙ちゃんかも知らないけどさ」
「うん」
「まっつんの母親と寝たとか、しょうもないのは、どうかと思うけどな!」
かねやんが笑って俺を見つめる。「だな」俺は、うまく笑えただろうか?
「まあ、今日。全部わかるよ」
「そうだな」
智の口から、俺だと言われた瞬間。何て言えばいいんだろうか?電車は、8駅進んだ所で、かねやんと降りる。
「ビルばっかりだよなー」
「うん」
階段を上がって、改札を抜ける。駅から出ると、もう都会だ。
「俺達が住んでる場所から、一時間ちょっとで都会だぜ!すげーよな」
「うん」
いずれこっちにばっかり来るようになっちゃうのかな…。
「人も多いよな!すげーな」
「うん」
二人で並んで歩きながら、しきりに感動していた。かねやんは、何度もすげーを繰り返していた。俺は、この街に来る頻度が増えれば凛の事、凛との過ごした日々が、色褪せていく気がしていた。
「何か都会って作り物みたいな街で楽しいな」
かねやんは、そう言いながら笑ってた。高いビルの前についた。
「いつか、
「わかる!共演とか出来たら最高だよな!顔隠してるけどなー」
「でも、liveは光をうまく使って挑戦してるんだろ?」
「そうそう!最前列は関係者しかいないらしいよ」
俺は、かねやんとビルに入って行く。かねやんは、エレベーターを押していた。
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