最後にするから【カクヨム版】

私は、ショルダーバッグを床に置いた。


「これを最後にするから」


拓夢は、そう言うとパチンと電気をつける。


「恥ずかしい」


「だから、全部見せて」


「おばさんだし、だらしない体だし、はりがないし」


「どうでもいい…。お願い」


私は、ゆっくり頷いた。


「目閉じてるから、先に入って」


そう言われて、服を脱いでいく。畳んで、洗濯機の上に置いて、シャワーに入る。最後なんだ。拓夢とこんな事をするのは、もう最後なんだ。


ガタン…


お風呂場の扉が開いた。


「凛、見せて」


「恥ずかしいよ」


「洗ってあげる」


拓夢の体は、引き締まってる。若くてはりがあって、腹筋がちゃんとある。泡で出てくるボディーソープを手に取って、拓夢は私のお腹においた。


「凛、綺麗だよ」


そう言って、お腹から泡を胸に広げていく。


「はぁ」


息が漏れる。


「凛、忘れたい」


「何があったの?」


拓夢は、私を後ろに向かせて抱き締める。


「誰かが、まっつんの母親と俺が寝たのをSNSに投稿して」


「そんな」


「否定出来なかった。だから、忘れさせて。凛」


「大丈夫なの?」


「相沢さんが、何とかしてくれるって言うから」


「わかった」


私の腰にある拓夢の手を握りしめていた。


「洗ってあげるから、見せて」


「うん」


拓夢は、私の全身を綺麗に洗ってくれる。


「私も洗ってあげる」


「ありがとう」


私も拓夢の体を洗ってあげた。シャワーから上がると拓夢はバスタオルを取った。私の体を丁寧に拭いてくれる。


「凛の香水の匂い嗅ぎながら一人でしたんだ」


「そうなの」


「そうだよ!凛は、旦那さんとしたんだろ?」


私は、何も言えなかった。


「気にしてないから」


裸のまま、拓夢は私をベッドに引っ張っていく。


ドサッ…


「拓夢」


「凛、何時までいれる?」


拓夢は、目覚まし時計を見せてくる。龍ちゃんは、9時には寝ると言っていた。


「日付が変わる前まで」


「じゃあ、タップリ出来るね」


「うん」


最後なら、沢山私に拓夢を刻み付けて欲しい。

私は、拓夢の頬に左手を当てる。


「凛、愛してるよ」


「私もだよ、拓夢」


ゆっくりとキスをされる。


「ハァー」


吐息が漏れる。キスをされながら、触れられる。恥ずかしいけど、満たされていたかった。さっき、拓夢が遠くに行ったみたいで悲しかったから…。

唇が離れて、鎖骨や胸にキスがされていく。体が震える。手探りで何かを掴みたくなる左手を拓夢が握りしめてくれる。拓夢の手をギューっと握りしめる。と、それを合図にするかのようにキスを浴びせてきた。あっという間に、そこに辿り着かれた。


「んっ」


「凛、綺麗だよ」


そう言われながら、そこに触れられる。


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