ライブの終わりと拓夢

ライブが終わった。


「凛ちゃん、番号!明日、かけてみようか?」


「うん」


「今日は、たくむんとゆっくり過ごしなよー」


「ありがとう」


理沙ちゃんも泣いていた。


「早く出たいのに、なかなか出れないからもどかしいよねー」


「確かにそうだよね」


「凛ちゃん、合格するかな?」


「合格って何?」


「たくむんから聞いてない?ジャケット写真とPV、凛ちゃんとやりたいって!今日、相沢さんが判断してくれるって」


「知らなかった」


「たくむんはね、凛ちゃんを次の場所(ステージ)に連れて行きたいんだよ」


そう言って、理沙ちゃんは笑ってる。私は、邪魔な存在だと思ってた。拓夢は、そう思ってなかったんだ。


「やっと出れるね」


「うん」


外に出ると、かねやんさんのお父さんが待っていた。


「行こうか」


「あっ、待って!智君」


「あー、理沙ちゃん」


「聞いてたの?中で」


「チケット買ったんだ!」


「会っていかないの?」


そう言って、理沙ちゃんはその人と話してる。


「いやー、しゅん君のお母さん長かったですね」


「本当に、長かった」


「松田さんは、来なかったんですね!星村さんも…」


「確かに、見かけなかったですね」


どうやら、まっつんさんと拓夢の両親は来ていないようだった。


「ごめんね。凛ちゃん」


「よかったの?」


「うん!帰るんだって!じゃあ、行こう」


「うん」


そう言われて、四人で歩き出す。理沙ちゃんが、場所に詳しくて連れて行ってくれる。理沙ちゃんは、まっつんさんの元に行く。しゅんさんのお母さんは、しゅんさんの元に、かねやんさんのお父さんはかねやんさんの元に…。私だけ動けずにいた。そんな私の傍に拓夢がやってきた。


「彼女です」


その言葉に、私は驚いた顔をして拓夢を見つめる。

「貴女が星村君の譲れない人?」その言葉に私は、驚いた声を出した。「えっ?」すると、その人は、ニコっと笑って「いいよ!合格!素人だけど、悪くない」と言った。私は、不思議な顔をした。さっき、理沙ちゃんが言っていた話はこれなのだろうか?


私と拓夢は、拓夢の家に来ていた。玄関に入ってすぐに抱き締められる。遠い存在だと思っていた拓夢が近くにいる。


「この服、可愛いね!肩出てる」


「うん」


「シャワー浴びたら、バレる?」


「どうかな?」


「バレるなら、このまま抱きたい」


「汗かいてるから」


「関係ない、俺も同じ」


拓夢の息がかかる。ちゃんと傍にいる。


「シャワー浴びたい」


「じゃあ、行こうか」


私は、靴を脱いだ。手を引かれて洗面所に行く…。拓夢は、シャワーの蛇口を捻った。

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