拓夢の最後の話2
凛を刻みつける【カクヨム版】
ずっと、さっき見せられたSNSがこびりついて離れない。俺は、ゆっくりと凛にキスを浴びせる。
「んっ」
凛の声や体の動き匂いや体温…。全部、全部、覚えておきたい。
「凛、愛してるよ」
俺は、凛の胸に唇を当てる。凛は、顔を右手で隠した。
「どうした?」
俺は、凛の顔を覗き込んだ。
「ごめんね!何でもないの。避妊具、ここだよね」
「凛」
俺は、凛の右手を握りしめる。何で泣いてるのかわからなかった。
「どうしたのか、話して」
「また、ムード作るの大変だよ!早くしなきゃ」
「いいよ!聞きたいんだ」
俺は、凛の体をゆっくりと起こした。
「さっき、拓夢が遠い存在になった気がして悲しかったの。私は、拓夢にとって邪魔な存在だって思えたの。そしたら、SNSに書かれた話聞いて…。私との事も書かれちゃったらって不安になった」
俺は、凛を抱き締める。
「遠くなんかないよ!俺は、普通の人間だよ!それに、凛の事を書かれてしまっても何とかするから…。それと、平田さんの件は、まっつんが誓約書、書かせたから…。平田さんは、凛との動画を消すの嫌がったから…。でも、どこにも流出させたりしないって約束してくれたから」
「本当に?」
「本当だよ!だから、大丈夫」
俺は、凛の頭を優しく撫でる。
「ごめんね、ムード壊して」
「いいって!気にしないで」
「ごめんね、だけど、やめたくない」
凛は、そう言って俺を強く抱き締めてくれる。
「凛、俺は遠くに何か行かないから…。例え、デビュー出来ても、俺は俺だから、信じて」
「うん」
俺は、凛をベッドにゆっくりと寝かせる。
「もうきていいよ」
凛は、そう言って俺の頬に手を当てる。
「わかった」
俺は、避妊具を取り出してつける。
「痛くない?」
「大丈夫だと思う」
「でも、少しは痛むかもしれないだろ?」
俺は、凛にまた触れていく。
「んっ」
「愛してるよ、凛」
例え、どんな未来に進んで行こうと俺は凛を愛してる。形を変えても愛してる。
「いい?」
「きて」
俺は、凛にキスをしながらゆっくりと凛に愛を注ぎ込もうとする。
「んっ」
この声を忘れたくない。本当は、平田さんのように録音してたらいいんだけど…。それは、出来ない。大人だからってのと、凛より好きになる人が出来たらって話しだ。
俺は、優しく愛を奏でる。
「んっ」
「凛、忘れない」
「私も」
凛の呼吸に合わせるように、愛をさらに奏でていく。
「ずっと、こうしていたい」
「私もだよ」
「忘れたい…色んな事」
「うん」
俺は、そう言って暫く凛に愛を注ぎ続けていた。
もう、これが最後だから…。凛の全てを覚えておきたい。
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