話し合い

「母さん、凛さんに酷いこと言わないでよ」


「あんたは、黙ってなさい!この女が、あんたをたぶらかしてんのはわかってんのよ!こんな場所まで、未成年連れてきて」


「母さん、もうやめてよ」


平田さんは、そう言って母親を止めている。


「お願いします。今日だけ、二人で居させてあげてもらえないでしょうか?」


俺は、平田さんの母親に頭を下げる。


「星村さんが、何でお願いしてんのよ」


「お願いします」


平田さんの母親は、俺の前にやってきた。


「あんたも、この女にたぶらかされたんでしょ?」


「違います」


「母さん、お願いだから凛さんと居させてよ」


「何なの!母さんよりこの女がいいの?」


「1日ぐらい、僕だって!好きな人と居たいんだよ」


「この女とは、居たでしょうが?」


「二人きりで過ごしたいんだよ」


平田さんの母親は、涙目で平田さんを見つめる。


「あんたも、父さんと同じで私を捨てんのね」


そう言って、体を引きずるように部屋を出て行く。


「拓夢」


追いかけようとする俺の腕を凛が掴んだ。


「大丈夫だから!凛は、平田さんと過ごしていて!俺が、何とかするから」


「行かないで……」


「約束したなら、守らなきゃ!凛」


「拓夢」


「また、今度な」


俺は、部屋を出て平田さんを追いかける。


「待って」


「離してよ」


エレベーターの前で、ちょうど掴まえれた。


「部屋戻りましょう」


「あの女としたんでしょ?」


鋭い言葉に、何も言えなかった。


「別の場所に行きますか?」


「いいよ、別に」


俺は、平田さんの母親と部屋に戻った。部屋に入ると平田さんの母親は、煙草に火をつける。


「気持ちよかった?」


「すみません」


「別に、あんたを咎めてるわけじゃない」


「すみません」


それでも、俺は謝るしかないと思った。


「あの人、子供出来ないんだってね」


俺は、何も言えずにいる。


「凛を子供みたいに思ってんのかなー。プハー」


煙草の煙を吐き出しながら泣いてる。


「私は、凛に優しく出来ない」


「はい」


「だから、あの女が凛に優しくしてると思うと腹がたってさ」


「そうですか」


「星村さん、座りなよ」


平田さんの母親は、そう言って俺を自分の隣に俺を呼んだ。俺は、隣に座った。


「お酒飲んでいい?」


「俺が、取ってきます」


俺は、すぐに立ち上がって冷蔵庫に冷やしたお酒を持ってきた。


「ありがとう」


プシュっとビールのプルトップを開ける。


「星村さんも飲みなよ!」


「はい」


そう言われて、俺は冷蔵庫にまた行ってビールを持ってきた。


「乾杯」


「乾杯」


ゴクゴクと並んで、ビールを飲む。


「凛がさ」


「はい」


「ずっーと、あの人は悪くない!悪いのは、僕だからって言うのよ」


そう言うと、平田さんの母親の目から涙が流れてくる。


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