さよならと真実【カクヨム版】

「凛ちゃん初めてだったんだね。ほら」


そう言って、ティッシュを見せてくる。出血してる。あそこが、怪我してるみたいに痛い。私は、服を着る。


ガタッ…。


「うまく立ち上がれないでしょ?ちょっと休んだら?」


早く帰りたいのに、体が言うことを聞いてくれない。それでも、私は必死で立ち上がった。


「無理しないでいいんだよ!初めてだと辛いでしょ?」


勝ち誇ったみたいにニヤニヤ笑ってる。


「どうして?こんな事」


上野さんは、起き上がって煙草に火をつける。


「俺ね、初めて見た時から凛ちゃんとセックスしたかったんだよ」


「何でですか?」


「こんな綺麗な子と出来る機会なんてそんなないだろ?だからだよ!」 


そう言って、おかしそうに笑ってる。


「でも、最高だったよ!凛ちゃんは、遊んでると思ったのに初めてだったし!何より、気持ちよかった。凛ちゃんもだろ?」


「帰ります」


私は、そう言って上野さんの家を後にした。泣きながら、家に帰った。下半身の違和感は、消えなかった。


ブー、ブー。バイブにしていた携帯が鳴ってる。


【着信中ー蓮見君】


ディスプレイに表示された名前を見つめながら泣いていた。


「ごめんなさい、今日はお腹が痛くて行けそうにありません。本当に、ごめんなさい」


口に出しながら、メッセージを打った。涙が止まらない。蓮見君と付き合いたかった。そのまま、冬休みに入ったから蓮見君には会わなかった。初めてを失くした事なんて夢ならいいのに…。年が明けて、学校が始まった。


「凛ちゃん」


蓮見君が、私を見つけて声をかけてきてくれた。


「凛ちゃん、あの日言えなかったから言うね!俺ね、好きなんだ!だから、凛ちゃん付き合おう!」


こんなに嬉しい事がある?こんなに人生で嬉しい事がある?


「ごめんなさい、私。蓮見君とは付き合えない」


胸が苦しい。心臓がどこにあるかわかるぐらいギュウってされてる。


「何で?凛ちゃん」


「ごめんなさい。無理なの」


私は、走ってその場を去った。トイレに入った。ごめんなさい。蓮見君。私は、トイレで泣いていた。女の子が入ってくる。


「ねぇ、ねぇ、便所の話聞いた?」


「聞いた、聞いた」


「友達売って金稼ぎ出したんだって」


「大学生の金持ちでしょ?上野だっけ」


「そうそう!」


「志津村柚希(しずむらゆずき)もやられたって」


「可哀想、処女だったんでしょ?」


「処女は、これだけ出すらしいよ」


「えー、10万って事?」


「うん」


「いい小遣い稼ぎだって!だから、便所にみんな近づかないんでしょ?」


「そうそう」


「あっ、あの子大丈夫なのかな?」


「凛ちゃんって呼ばれてる子」


「そうそう!美人は、これらしいから」


「マジで!30もくれんの?そりゃあ、便所もやるわ」


「遅刻する、行こう」


「うん」


そう言って、女の子達はいなくなった。

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