凛に背負わせた荷物

「いいから、行けよ!俺なんかほって」


凛は、泣きながら俺を見つめる。


「何で話してくれたの?」


「一人で持ってるの重たかったから!そろそろ手放したくてさ」


「私なら持てるって思ったの?」


「そうだな!結婚してるし、色々深刻な人だろ?凛なら、いくらでも持てるだろ?」


口から嘘が流れるように出ていく。


「こんなに、頭が追い付いてこない。ごめんね。何も言えなくて」


凛は、そう言っておでこを擦って泣いてる。


「凛」


ごめん、凛。今になって、俺は凛に背負わした荷物の重さに気づいた。


「ごめんね、ちょっと待って」


凛は、泣きながら一つずつ整理してるみたいだった。


「凛」


俺は、凛に手を伸ばす。手が震えるのを感じる。


「今でこそ、身長があるんだけど…。中学二年の時、小さかったんだ。俺ね、好きな子が居たんだ」


何で、もっと凛に荷物背負わせようとしてんの俺。


「うん」


「放課後、先輩に呼ばれてたから!仕方なく、空き教室に行った。そしたら、星村君が好きだって言うんだ。俺は、ごめんなさい、好きな人がいるって言った。そしたら、先輩!一回だけ、家に来て遊んでって言うんだよ」


「うん」


「仕方ないから、先輩の家についていった。ゲームしたり、ジュース飲んだり、お菓子食べたりした。夕方になって、帰るって言ったら。後ろから首絞められた」


凛は、驚いた顔をする。


「俺ね、まだ157ぐらいしかなくて!先輩は、168ぐらいあったかな!で、苦しくて殺されるって思った。そしたら、先輩離してくれた」


「うん」


「それで、ゲホッゲホッ咳き込んでたら、押さえつけられた。思ったより力が強いから逃げれないし。母さんから、女の子に手をあげるなって言われてたから抵抗できなくて」


俺は、震えながら凛の手を握りしめる。


「そのまま、流されるように関係を結んだ。嫌だった。だって、初めてだったから!好きな人としたかった。気持ちよくなんかなかった。家に帰って、吐いた。何度も洗った。でもね、あれからずっと俺は汚れてるんだよ!凛」


凛は、俺の手を握りしめてくれる。


「汚れてないよ」


凛は、そう言って泣いてくれる。美紗を愛して汚れが落ちた気がしたのに、まっつんの母親を抱いて汚れは増えた。明日花ちゃんを抱いて綺麗になった気がしたのに…。別れて気づいたのは、俺は汚かったって事。凛と久しぶりにセックスをした時に…。初めて、綺麗になった気がした。


「無理矢理して」


凛は、俺の言葉に困ったように眉を寄せてる。


「凛が、襲ってくれたら綺麗になれる気がするんだ」


凛は、俺の手を強く握りしめてくれる。


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