連絡…

俺は、管理人さんの言葉に背中を押されて走っていく。ベッドにあるスマホを手に取る。


着信が一件となっている。見ると【凛】からだった。俺は、電話を鳴らす。


プルルル、プルルル、プルルル……。コール音だけしかしない。留守番電話になるわけでもなかった。俺は、切って数回それを繰り返した。けど、凛は出なかった。


「何で?何でだよー」


繋がり合っていたと思っていたのに、もうその運命(いと)はちぎれそうな程、細い事に気づく。


「凛、凛…」


俺は、服を着替える。最寄りの駅は、スーパーの所だ。俺は、家を出て鍵を閉めると急ぎ足で歩いた。あのスーパーで待ってたら来るのか?嫌、わかんないけど…。取り敢えず、行くしかない。駅について、電車に乗る。凛の家の駅についた。俺は、ホームに降りる。凛が死んだら…。俺は、後悔しかしない。階段を上がって、改札を抜ける。平田さんが働いてるスーパーについた。店内を見渡してみるが、どうやら、平田さんは休みらしい。


俺は、スーパーを出た。ここしか思いつかなかった。凛の家を俺は知らない。嫌、皆月って名字は珍しい。探せば、見つかったりするか?俺は、スーパーを離れようとした。


「あんた!」


そう言われて、振り向くと平田さんの母親が立っていた。


「何ですか?」


俺は、不機嫌に答える。


「あんた、あの人の旦那じゃなかったんだね」


何で、それを知ってるんだ?


「わざわざ、ある人が教えてくれたよ」


「だから、何ですか?」


「凛を問い詰めようと思ったらあんたが来ると思わなかったわ」


そう言って、嬉しそうに笑っている。


「俺、用事あるんで」


「あんたの不倫相手がどこにいるか知りたくないのかい?」


「えっ?」


「ある人がつけてて!教えてくれたんだ」


そう言って、平田さんのお母さんはニコニコ笑ってる。


「教えて下さい」


俺は、そう言って頭を下げる。


「ふっ!こっちに来て」


平田さんの母親は、俺を鼻で笑ってから連れて行く。


「乗って」


そう言われて、車に乗れと言われた。俺は、助手席に乗り込んだ。


「平田さんを迎えに?」


「なわけないでしょ?凛が、不倫しようとしてるから止めにきただけよ!」


そう言って、車を走らせる。景色が、どんどん変わっていく。


「不倫しようとしてる?そんな、まさか」


「凛はね、あの女が好きなのよ!凛の部屋のノートに書いてるの見たのよ!あの女とキスしたいとか、エッチしたいとか、書いてるのを…」


「だからって、不倫するか何かわかんないじゃないですか!」


「わからないわよ!わからないけど、ここに来たならおかしいと思うのが母親よ」


そう言って、車は停まった。


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