さっきの、想像…

味噌を選びにやってきた。私は、お米入りのお味噌が大好きだから!玄米味噌を選択した。さっき、拓夢との結婚生活を想像したのを思い出していた。


【何でよ!何で、こんな思いしなきゃならないのよ!私が、無能だって言いたいんでしょ?】


【じゃあ、やめようよ】


【やめたら、出来ないって言われたじゃない!だったら、ちゃんとしなきゃ…。だけど、お医者さんに言われてもいいけど…。そっちに言われたくない。何で、私を無能みたいに言うのよ!何でよ】


よりにもよって、想像した結婚生活は、化学流産と言われた後の出来事だった。お互いに罵倒し合ったあの日々…。拓夢と結婚したらって思って、何故そこ?


「危な、セーフ」


私は、その声に隣を見つめた。


「味噌落としそうになった」


スーパーにいるのに、拓夢の腕にしがみついた。


「どうした?」


足に、買い物カゴがあたる。


「泣いてる?」


ポタポタと頬を濡らす涙を感じていた。結婚生活は、地獄の入り口。本当にそう思った。


「泣いてない」


「どうした?」


「泣いてるのわかってる」


暫くして、子連れの声が響く。


「ママー、こっち」


「はい、はい」


拓夢は、私をその人達から見えないように隠すように立ってくれる。


「拓夢」


「買ったら、帰ろうか!スーパーは、凛にとっていい場所とこじゃないね」


そう言って、手を繋いでくれる。ごめんね、違うの。拓夢と結婚したらって思ったら、消えたくなるぐらいダークな日々を思い出しただけだよ。


「お肉取りに行く」


「そうだな!行こうか」


頭を撫でてくれる。長い指先…。ずっと、大切にして欲しい。私、拓夢がどんどん大切になってきてるよ。


「合挽き?贅沢に牛100%とかでもいいよ!逆に豚肉だけでたもいいかなー。いやー、餃子感でるか!餃子でもいいかな

ー!いやー、それは今度つくって貰おうかなー」


拓夢は、私を泣かせない為に饒舌に話す。


「駄目かな?」


「いいよ」


「やったー!」


拓夢の優しさが嬉しくて、胸の中に暖かさが広がっていく。


「何g食べる?ハンバーグ食ったーって感じがいいかなー」


「ご飯は、ある?」


「米ぐらいは、炊けるからあるよ!」


「それなら、明日の分も作っとく」


「ありがとう!」


私は、500gの合挽きミンチをカゴにいれる。拓夢には、この先の人生。私みたいな苦しくて悲しい思いをして欲しくない。だから、絶対。こんな関係、終わらせなくちゃいけない。


「凛、何も考えなくて馬鹿なままでいいんじゃない?」


「えっ?」


「難しく考えなくて!今は、寄り道してさ!あの時は、馬鹿だったって思うぐらいの生き方しようよ!」


拓夢に、考えを気づかれているみたいだった。


「じゃあ、帰ろうか」


二人で、レジに並ぶ。時刻は、19時半を回ってる。凛君から、連絡いつくるかな?

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