拓夢の話7
待ち合わせの駅…
俺は、凛との待ち合わせ場所に向かって歩いていく。キャップを被ったのは、顔をバレないようにする為だった。まだ、雨は降ってなくて助かった。まあ、降ったら駅前で傘を買えばいいかな…
待ち合わせ場所についたけど、凛はまだついてなかった。普通の恋愛と同じように考えていたせいで凛を困らせていた。
軽々しく手なんか繋いだら駄目だし。名前も呼んじゃ駄目だし。ルールをちゃんと守らなきゃ!
凛からのメッセージが入った。近所にお出掛けしますって感じの凛が立っていた。美沙が現れた日みたいな格好だ。
見えない壁があるみたいな距離感を続けながら歩く。手は、握っちゃ駄目だ。握りたくなった手を握りしめる。
パシャ…って、凛に水が跳ねてしまったのが見えた。手を繋いでたら、水がかかるのは、俺だったのに…。
「帰る」
凛の言葉に、頭が真っ白になった。どうして?何で?何が嫌だった?
「帰る」
凛の言葉に胸が締め付けられる。俺、何かした?
生理だからお腹が痛いと言われた。どう見たってそんな風には見えなかった。美沙が、生理でお腹が痛い日は、無意識に下腹を擦っていた。でも、凛はそんな素振りを見せていなかった。
虹色の傘をバサリと開いて、凛がいなくなって行く。
俺の言葉なんて聞かずにどんどんと進んで行く。俺は、凛を追いかけた。
「危ない」
階段に差し掛かったのに、気づかないで進もうとする。凛の腕を掴んだ。
「終わりたいんでしょ?」凛の言葉に驚いた。終わりたいなんて思ってなかった。ずっと傍にいる為に、どうするか考えた結果だったのに…。凛は、違う捉え方をしたのがわかった。俺は、凛を人目につかない場所に連れてきた。凛が納得してくれたかは、わからないけど…。今の俺の気持ちをちゃんと伝えられた。
虹色の傘に隠れてキスをした。俺達は、きっとずっとこんな風に隠れなきゃならない関係なんだ。
買い物に行くと、野菜を買う。凛の顔が、お化けでも見たように強ばった。何を考えていたのだろうか?味噌を取りに行くと行ってしまう。気になって、ついてきてしまった。影から凛を見つめてると頬をキラキラした何かが流れる。
泣いてるんだな!
俺は、凛の隣に立った。でも、凛は気づかなくて味噌を落としそうになった。受け止めた俺に、抱きついてくる。
凛は、どれだけの悲しみを抱えてるの?俺は、それを一つでも拭える?
子供の声がして、俺は凛を隠すように立った。暫くして、いなくなる。スーパーは、凛を傷つける存在なのがわかった。だから、平田さんのいるスーパーに行ってたのか…。平田さんは、凛にとっていないはずの子供なのだろうか?いや、そんなわけないか…。
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