ルール

『だったら、仕方ないじゃん!拓夢、凛さんに迷惑だけかけちゃいけない』


「そうだよな」


『今日の誘いは、迷惑だったんだよ!ちゃんと顔色見なきゃ駄目だぞ』


「わかった」


俺は、涙を拭った。


「あっ!かねやん、大事な話あったんだろ?」


『実はさ、拓夢が言ってた事、智輝ともきに確認したんだ』


「松永先輩の事か?」


『そう!確認した』


「で、何だって?」


『智輝が、その人に連絡とるから!会わないかって話だったけど…。拓夢、美沙ちゃん嫌いになりたくないよな?』


断る理由は、なかった。だって、かねやんは、あんなに智に怒っていたのに…。俺の為に、連絡をとってくれたわけで…。それに、今さら美沙を嫌いになりたくないとかなかった。


「いや、会いたい」


『そうか!じゃあ、智輝に連絡しとく』


「あのさ、ごめんな」


『何で、拓夢が謝るんだよ』


「だって、かねやん。智にめちゃくちゃ怒ってたから」


『あー!別に…。確かに、あん時はめちゃくちゃムカついたよ!でも、拓夢から凛さんが赤ちゃんが出来ない事に苦しめられてるって聞いたら!何か、智輝の事許してたわ』


かねやんは、そう言って笑っている。


「許せたなら、よかったよ」


『ああ!赤ちゃんが出来て産まれるって奇跡なんだなーってめちゃくちゃ思った!凛さんの話を聞かなかったら、多分、俺、赤ちゃんぐらいでやめるとかなんだよって今でも思ってたよ』


「確かに、妊娠って簡単に出来るって思いがちだよな」


『ああ!知らないからさー。周りだって、簡単に出来てるし。だけど、拓夢から聞いて、違うってわかったから…。そしたら、智輝が父親をとろうとしてる意味もわかったから』


「かねやん」


『まー、智輝がいなくても続けるって決まったんだしな』


「そうだな」


凛は、確実に俺達の人生を変えてくれた。子供が出来る事は当たり前じゃない事も、智が結婚を優先した事も、凛のお陰で許せた。俺もかねやんも…。


『凛さんに会うならお礼言っててよ!あっ、それと、相沢さんに連絡忘れんなよ』


「わかった!伝えとく。うん!明後日には、連絡しとくよ」


『了解』


「かねやん、ありがとな!色々」


『おう!まあ、智輝から連絡きたら連絡するわ!それと、ルール忘れんなよ』


「わかった」


『じゃあな』


「うん」


かねやんとの電話を切った。そろそろ、凛との待ち合わせ場所に行かないとな!俺は、立ち上がってボディバックを取りに行く。鞄に財布と鍵とスマホとハンカチを入れる。俺は、家を出る。昨日、まっつん、かねやん、しゅんに俺はこう宣言した。


「凛といたいから、俺メジャーに挑戦したい!」


みんな最初は、ハテナマークを浮かべた顔をしていたけど…。

すぐに、「わかった」って言ってくれたんだ。

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