あの子は、嫌だ【カクヨム版】

ドサッって、音が響きそうに思うぐらいソファーに押し倒される。


「何?」


「旦那さんは、いいよ!」


「うん」


「だけど、俺。あの子は嫌だ」


「どうして?」


「どうしても嫌だ!凛にこんな事して欲しくない」


そう言って、拓夢はTシャツに手を入れてくる。


「ヤキモチ妬いてるの?」


「うん」


そう言って、唇を重ねてくる。龍ちゃんとは、違う唇の分厚さや暖かさも…。人間は、一人一人違うのがわかる。


「凛君とは、そうならないよ」


私の言葉に拓夢は、悲しそうに目を伏せる。


「嘘は、つかないから」


「あの子は、若さで凛を強引に引っ張っていくよ」


「流されないから」


「本当に?」


「若いって無鉄砲でしょ?」


「うん」


「私は、夫がいるんだよ!そんな無鉄砲の子とはどうにかならないよ」


「バレたくないから?」


「違う!バレるのが嫌なんじゃない」


「壊されたくないんだね」


拓夢は、私の事を理解してくれている。そう、バレるの何て別にいいの。凛君みたいな若い子は、平気で私の中に入ってきて私の土地を踏み荒らす。それが、いいか悪いかもわからずに…。壊されたくないの…。


「拓夢」


不倫相手に選ぶなら、25歳を回ってる方がいい。酸いも甘いも知っていて、どこまでなら踏み込んでいいかをきちんとわかってるから…。昔、この話を誰かから聞いた。不倫なんて気持ち悪い事しないわよ!なんて、思ってた頃に聞かされた話。


「凛、ベッドに連れて行ってあげる」


世の中の女性が憧れるっていうお姫様抱っこを拓夢は、してくれる。

私は、拓夢の首に手を回した。ゆっくりと体が宙に浮かんで…。拓夢は、ベッドに私をゆっくりとおろした。


「お姫様、お怪我はありませんか?」


「フッ、何それ?」


「いいから」


「ありません」


「嘘だよ!ここが、怪我してる」


そう言って、拓夢は私のシャツを脱がした。


「どこ?」


「ここ」


そう言って、左胸にキスをされる。


「王子様、もっとして」


「もっとって」


「恥ずかしい」


「こうして欲しいって事」


「駄目」


優しく味わうように、キスをされる。ゆっくり丁寧にキスを浴びせられる。


「凛、愛してる」


そう言って、濃厚なキスをしてくる。


身体中が愛されてるのを実感していく。満たされてく。心も身体も…。子供が欲しいなんて、これっぽっちも思わなくて…。ふつふつと湧き出る欲望の泉という名の沼に全身が沈んでいく。私と拓夢は、その沼から顔だけを出して繋がってる。


「凛の体、好きだよ」


「拓夢」


「俺、凛とずっと一緒にいたい。どんな形でもいい。お願い、傍にいさせて」


繋がり合うのは、体だけじゃなくて心も繋がっていく。


『んっ』


声が重なり合って、私と拓夢は果てる。


頭の中が真っ白だった。


私と拓夢は、手を握りしめ合っていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る