明日…

私と拓夢は、同時に牛丼を食べ終わった。


『ごちそうさまでした』


拓夢は、冷蔵庫からお茶を取り出して持ってきた。


「その紙コップもらっていい?」


「あっ!うん」


拓夢に言われて、紙コップを買ってきてたのを思い出して渡した。


「明日は、何するの?」


「凛君に会いに行く」


拓夢は、驚いた顔をする。


「俺も一緒に行こうか?」


「いいよ!気にしないで」


「大丈夫?」


「大丈夫だよ!凛君も何もしないって約束してくれてるから」


「どこで、会うの?」


「あの公園」


「本当に大丈夫?」


「やばかったら、逃げるから」


拓夢は、お茶を渡してくれた。


「何時に待ち合わせ?」


「一時!あっ、でも拓夢も明日は仕事でしょ?早く出るから」


「凛が心配だよ」


「仕事は、仕事でしょ」


拓夢は、私の手を握りしめる。


「クラゲみたいにゆらゆら漂っていて、辿り着いた先に止まっていたいみたいな考え方してるだろ?凛って」


「何で、そんな事わかるの?」


拓夢がエスパーみたいに思える。


「わかるよ!だから、フワフワしてる。その危うさが心配なんだよ」


「また、凛君に迫られたら断れないって思ってる?」


「思ってる」


拓夢は、そう言って私を引き寄せて抱き締めてくれる。


「そのお陰で、俺は凛とこうなれたからいいんだよ。だけど、あの子とはそうなっちゃ駄目だろ」


「未成年だもんね」


「うん」


「へたしたら、私の子供だよ」


「そうだな」


「ないよ!大丈夫」


私は、拓夢の背中に手を回した。


「それでも、凛が心配なんだ」


「わかってる」


「凛、あの子と向き合うのはいいけど…。一線は、越えちゃいけないよ」


「わかってる」


「凛は、優しいから!あの子は勘違いしちゃうよ」


「わかってる」


拓夢は、私の体を確かめるように強く抱き締める。ちゃんとわかってるよ。拓夢…。それでも、私は凛君と向き合いたいと思ったんだよ。


「何かあったら、連絡して!駆けつけるから」


「何か、スーパーヒーローみたいな言い方だね」


拓夢は、私から離れて照れ臭そうに鼻を掻いた。


「実は、明日!あのパンケーキ屋さんで、打ち合わせだから!それで、直帰になってるから!近くにいるんだよね」


その言葉に、私は拓夢の頬をビヨーンとつねった。


「痛いから」


「心配で、覗きにくるつもりだった?」


「そんなわけないから」


「嘘だよ」


「嘘じゃないって」


「本当の事言って」


拓夢は、私の両手に両手を重ねる。


「休憩時間か、終わってる時間かも知れないから…。見に行くつもりではいた」


「やっぱりー。私の事信じてないじゃん」 


「そんな事ないよ」


拓夢は、そう言って私の手をギューと握りしめる。

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