モデル?

「ありがとう」


凛は、そう言って理沙ちゃんを見つめていた。


「理沙のお母さんとは、違うかもだけど!ずっと、自分を価値がないみたいに責めてたって言ってたの!だから、理沙。凛ちゃんには、そうなって欲しくない。こんなに綺麗な凛ちゃんが、価値がないわけないじゃん」


凛は、その言葉に涙を流してる。凛は、ずっと苦しみと悲しみを泳いできたんだと思う。


「理沙ちゃん、ありがとう」


「凛ちゃん、これからいっぱい楽しもうよ!アオハルだよ!アオハル」


「青春ってやつ?」


「それ、それ!アオハルって言うんだよ」


理沙ちゃんは、そう言いながら凛に笑いかける。


「でも、それは若い時ので」


「年なんか関係ないじゃん!凛ちゃんが、アオハルだーって思ったらアオハルなの」


そう言って、理沙ちゃんは凛に何かを渡す。


「それ、理沙の番号」


「ありがとう」


「凛ちゃん、理沙と働くの考えてよ」


「働く?」


凛は、不思議な顔をしてる。


「理沙、凛さん誘っちゃダメだって」


まっつんが、そう言った。


「いいじゃん!」


「何の仕事?」


「モデルだよ!って、言っても雑誌とかじゃないよ」


「雑誌とかじゃないの?」


「そうそう」


「だから、ダメだって」


「凛ちゃんなら、絶対いけるもん」


凛は、不思議そうに首を傾げる。


「どんなモデル?」


「インディーズバンドのプロモーションビデオ出たり、ジャケ写とらせたり、制服着たり、そんなんを理沙の友達がやってんだよ!そういうのいらないだろ!だから、駄目だ」


凛は、その言葉に何かを考えているようだった。


「凛ちゃん、やりたくなったら連絡してね!ってか、そうじゃなくても理沙と遊んでよ」


「うん」


「本当に?」


「いいよ」


「ヤッター!お姉ちゃんが、出来たー」


そう言って、理沙ちゃんはニコニコ笑ってまっつんの背中を叩いてる。


「痛い、痛いから」


「いいじゃん!いいじゃん!」


凛は、俺を見つめる。


「拓夢」


「何?」


「震えおさまってよかったね」


そう言って、凛は俺の手を握りしめてくれる。


「ありがとう」


「ううん」


「ヒューヒュー」


「何だよ!しゅん」


「めちゃくちゃ、いい感じじゃんかー」


「俺も、彼女欲しいわ」


かねやんとしゅんが、俺と凛の前にやってきた。理沙ちゃんとまっつんは、向こうで二人で話していた。


「冷やかすなよ」


「拓夢のそんな顔みんの久々だわー」


「トイレ行ってくる」


「うん」


凛が、立ち上がってトイレに行った。出ていったのを見届けてから、俺はかねやんに話しかけた。


「そうだっけ?」


「そうだよ」


「確かに、拓夢!めっちゃいい顔してる」


そう言って、しゅんとかねやんは俺を見つめている。

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