美沙ちゃん……

しゅんとかねやんは、俺をジッーと見つめてから、かねやんは俺に話す。


「拓夢が美沙ちゃんと付き合ってすぐの頃は、あんな顔してた。だけど、だんだん束縛とか酷くなっていって拓夢が疲れていってた」


「かねやん」


「俺、不倫はよくないとは思うよ!だけど、拓夢にはそういう恋愛があってるんだろうな」


「どういう意味?」


「拓夢は、愛されるより愛する方がいいんじゃないかって思っただけだよ」


「そんな事ないと思う」


俺の言葉に、かねやんは鍵を渡してくる。


「何だよ」


「凛さんと別れたら、俺の家こいよ!」


「かねやん」


「暫く、泊めてやるよ」


「鍵なくてはいれんのか?」


「バァーカ!俺は、いつでも合鍵持ちだよ」


「ありがとう」


「泣くなよ!拓夢!俺達、仲間だろ?拓夢に何かあったら嫌だから」


「かねやん」


「拓夢、バンドまだ考えてくれないか?」


しゅんは、そう言って俺を見つめてる。


「今は、ごめん」


「だったら、ほら!ジャケ写に凛さん使うとかどうだよ」


「凛を?」


「綺麗だから、絶対いいと思うんだよ!横顔とかだけでもさ」


「嬉しいけど、今は考えられない」


俺の言葉に、しゅんは俯いた。


「だけど、凛さんに何かするんだよな」


かねやんの言葉に俺は、かねやんから目をそらせなかった。


「歌わせて、動画サイトにのせるのか?」


俺は、何も話せないでいる。


「だったら、みんなでやろう」


その言葉に俺は驚いた顔をして、かねやんを見た。


「拓夢が大切にしたい人なら、俺達もしたいんだよ」


「かねやん」


「駄目かな?拓夢」


「ううん」


「じゃあ、決まりな」


「うん、ありがとう」


「みずくさいな!拓夢は…」


そう言いながら、かねやんは笑ってくれる。


「俺、拓夢が美沙ちゃんとの事で悩んでたの知ってるよ」


そう言って、しゅんは、俺の手を握りしめる。


「しゅん」


「あの時、悩んでたから明日花ちゃんと仲良くなったんだろ?」


「それは…」


しゅんの言葉にかねやんは、何かを思い出した顔をした。


「だから、凛さんといるとき楽しそうなんだな!拓夢」


「どういう意味?」


「拓夢は、拓夢らしくいれてるんだろ?」


「そうだよ!無理せずにいれてるんじゃない?」


「意味わかんないから」


俺の言葉に、二人は俺を覗き込むように見つめてこう言った。


「美沙ちゃんといる時の拓夢は、いつも無理してたよ」


「そうそう!大人にならなきゃ駄目だーみたいな感じでさ」


「凛さんといるとありのままでいれるんじゃないのか?」


「泣いたり怒ったり笑ったり、素直でいれるんじゃない?」


俺は、無言で頷いていた。


「大事にしろよ」


「そうだよ!」


「ごめん、最低だよな」


俺は、涙が流れそうになる。


「理沙、凛ちゃん迎えに行ってくる」


「迷ったのかな?」


「かもねー」


理沙ちゃんは、凛を探しに部屋を出た。


「拓夢、凛さんとずっといれる場所つくらないか?」


理沙ちゃんがいなくなってまっつんが、俺の隣に座った。


「何で?」


「凛さんといると息が出来んだろ?」


そう言って、まっつんは、俺の肩を擦った。俺は、その言葉にただただ黙って泣いていた。


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