行きたい場所…

俺は、ボストンバックに着替えを入れる。スーツを綺麗に持って、スマホを持つ。


「行こう」


「うん」


凛にそう言ってから、手を繋いで鍵を閉めて家を出た。


「その靴、もう履かない方がいいかもしれない」


「あっ!うん」


「凛、巻き込んでごめん」


「ううん、いいの」


そう言って、凛は笑ってくれる。


「連れて行きたい場所がある」


「うん」


「赤ちゃんを考えないでよくなる場所」


「うん」


そう言って、俺はエレベーターを降りる。暫く歩いて、タクシーを拾った。凛と二人、その場所につくまで話さなかった。暫くして、タクシーはとまった。俺と凛は、無言で降りて歩く。


「ここ」


「うん」


そう言って、俺は扉を開ける。


「いらっしゃい」


「待ってたよ」


「どうぞ」


その姿に、俺は泣いていた。


「何だよ!拓夢、泣くなよ」


「不倫だって知ってたって、好きなら応援してやるから」


凛は、驚いた顔をしながらもくしゃって笑った。


「めちゃくちゃ綺麗ですね!初めまして、しゅんです」


「初めまして」


「バァーカ!どさくさに紛れて手握ろうとすんなよ!」


「だって、まじで綺麗だよ」


「わかってるわ!初めまして、かねやんです」


「かねやんも、どさくさに紛れて手握ろうとしてんじゃん」


「まっつん」


三人は、凛を見ながら笑ってくれてる。凛も、ニコニコ笑ってくれてる。


「初めましてー!まっつんです。拓夢が好きになる理由わかります」


そう言って、まっつんは笑った。


「あー、理沙がいるのに浮気だー」


「理沙ちゃん」


「HELLO、たくむん!マジで、綺麗だー」


そう言って、理沙ちゃんは凛に抱きついた。


「お、お前、何してんだよ」


「女同士だから、いいよねぇー。凛ちゃん」


「は、はい」


「固いなー!凛ちゃん!綺麗だから、笑って笑って」


理沙の言葉に、凛はニコニコ笑ってる。


「たくむんが、不倫とか言ってるから!理沙、叱ってやろうと思ってたんだよーー。でも、こんな綺麗なお姉さん来ちゃったら反対できないじゃん!凛ちゃん、めちゃくちゃいい匂いする」


「そ、そんな事ないよ」


「待って、俺も匂わせて」


「やめろよ、童貞」


「童貞じゃねーわ」


「近づくな!理沙が許さない」


「理沙のじゃねーじゃん」


「しっ、しっ」


しゅんは、そう言われてむくれた顔をする。よかった!皆、凛を気に入ってくれてる。気づけば、俺もニコニコ笑っていた。


「あのさー、いつまで手繋いでんすか?」


「うっさい、童貞」


「だから、童貞じゃねーわ」


まっつんは、俺の顔を覗き込んで頭を撫でてきた。


「拓夢、俺等は拓夢と凛さんの味方だからな!だから、いっぱい愛し合え」


「なんか!まっつんエロい」


「変態、理沙がいるのに最低」


「痛い、痛いって」


俺は、四人を見つめていた。そして、隣にいる凛を見つめる。よかった!凛が、幸せそうで!さっきの恐怖が薄らいでいく。俺、やっぱり…。

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