心の拒絶…【カクヨム版】

「拓夢、凄いね」


「うん」


「ここ、好きだもんね」


「うん……り」


凛を呼びそうになって、口を押さえる。


「今、美沙の名前間違った?」


美沙は、俺のを強く握りしめた。


「痛い、痛いよ!美沙」


「今、違う人の名前呼ぼうとしたでしょ?」


「呼んでない」


俺は、駄目になった。心が拒絶したのがわかった。


「美沙が一番拓夢の体知ってるんだよ」


「わかってる」


「じゃあ、何で!知らない人の名前呼ぼうとするのよ」


「呼んでないから」


「美沙、赤ちゃん駄目になったんだよ!拓夢との赤ちゃん」


「わかってる。ごめん」


美沙は、ポロポロ泣き出した。


「ごめん」


俺は、美沙を抱き締める。


【たくちゃん、それはね!絶対に必要な材料じゃないって覚えときなさいよ!病気になったら出来ないの!相手を好きでも受け入れられなくなる事もあるの!だから、たくちゃんはちゃんと覚えとかないと…。わかった?】


今の誰だっけ…?誰が言ってたんだっけ…?


「拓夢、また美沙以外の事考えてるでしょ?」


「考えてないよ」


「拓夢」


「何?」


「美沙は、拓夢の全部知ってるんだよ」


「うん」


「まだ、続きする?」


「今日は、疲れたからいいよ」


「美沙をいらないって言うの」


美沙は、そう言って俺を押し倒した。


「言ってないから」


「じゃあ、ちゃんとしてよ」


「急には、無理だよ」


「やって」


「それは、俺にはどうしようも出来ないから」


美沙は、俺の手を握りしめる。


「美沙を愛してるなら、なるでしょ?拓夢」


「わかった」


どうにか頑張れよ、俺…


【たくちゃん、ちゃんとわかってる?愛情がないそれは、自分を苦しめるだけだよ!心を磨り減らすだけだよ!同情なんかで抱いちゃ駄目なんだよ!わかってる?】


さっきから、誰なんだよ。わかんないよ!


「拓夢、早くして」


「わかってる」


頭の中がうまく真っ白にならない。どうしたらいいかわからない。


「早く」


「わかってるから」


あの日のトラウマみたいなものが残ってたみたいだ。


「早くしなきゃ、安達さんにかけるよ」


「えっ?」


「安達さんって、新しい人でしょ?」


「美沙?」


「私、拓夢の全部知ってるって言ったよね?」


「電話帳見たの?」


「見たよ!お風呂に入ってる時に…。ほら、早くしてよ、拓夢」


「わかってる」


俺は、美沙を押し倒した。


「拓夢」


「わかってるから、喋るな」


美沙の口を押さえる。


【凛】



【凛、好きだよ】


凛を想像したら、頑張ってくれる。俺、一つだけ凛に話さなくちゃならない事がある。いや、二つかな……?

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