凛の話4

心だけは、繋がって…【カクヨム版】

「凛、愛してる」


引き寄せてキスをした唇を離して龍ちゃんは、そう言った。


「私も…」


しなくていいから、一緒に居て。

お願い、龍ちゃん……。



頭の中を【赤ちゃん】ばっかり横切って集中出来ないの


「凛」


「こうして」


「わかった」


少しだけ、頭の中から追い出せそうな気がしたけど無理だった。


「凛」


「龍ちゃん」


「ちゃんと鍛えなきゃ駄目だよな!じゃなかったら、妊娠させる能力ないよな!俺」


龍ちゃんは、息を整えながらそう話した。


「そんなの関係ないよ」


「そうかな?」


「そうだよ!出来ない理由を探すのは、嫌だよ」


「ごめんな、凛」


龍ちゃんは、そう言って私を抱き締めてくれる。出来ない理由ばっかりを並べるのは、もう充分すぎるぐらいやったんだよ。その度に、傷つけ合うのもやったんだよ。だから、もうそういうのはしたくないよ!龍ちゃん…。


「龍ちゃん」


「何?」


「それが傷つけ合う原因になるなら、私は無くてもいいよ!龍ちゃんとは…」


「それって、他人としてこいって意味?」


「違う!何で、そうなるの」


違わない。龍ちゃんが合ってる。


「無くなるのは、まだ耐えられないよ」


「でも、今までしなかった事の方が多かったでしょ?」


「それは、今までだろ?俺は、凛と全部繋がり合いたいよ。心も体も…。だから、無くすのは無理だよ」


「わかった」


龍ちゃんがそうしたいなら、構わないよ。私が我慢すればいいだけだから…。


「したくなかった?」


「そうじゃない」


「じゃあ、どういう意味だった?」


「龍ちゃんとすると赤ちゃんが欲しいでいっぱいになって…」


気持ちよくないなんて言えなかった。


「それが、辛いの?」


「時々ね」


毎回なのに、嘘をついた。


「知らなかった、ごめんな」


「ううん」


愛してるから、抱き締められて謝られたら全部許してしまう。本当は、嫌で堪らなくても…。龍ちゃんが、望むなら叶えようとしてしまう。


「凛、少しだけ寝るよ」


「うん」


「凛は?」


「眠るまで、隣にいる」


「わかった」


私は、龍ちゃんの頬を撫でる。こんなに愛しくて、こんなに大切なのに…。どうして、赤ちゃん出来ないのかな?


龍ちゃんは、目を閉じた。すぐに眠ってしまう癖は、相変わらずだ。

私は、龍ちゃんの胸に顔を埋めた。


「龍ちゃん、ごめんね」


そう言いながら私は泣いていた。


「こんなに愛してるのに、龍ちゃん。ごめんね。私、いい奥さんになれなくなったの……ごめんね。龍ちゃん」


私は、龍ちゃんを抱き締めて泣いていた。赤ちゃんが出来ない事が、どうしてこんなにも私を苦しめるのかな…。



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