龍ちゃん…

龍ちゃんが、いなくなって…。私は、目を開けた。どうしていいかわからないぐらいだった。龍ちゃん、ごめんね。

私は、スマホを見つめいた。


【僕は、やっぱり凛さんにもう一度関わりたいです。こないだのような事は、二度としません。だから、もう一度会えませんか?】凛君からメッセージが入ってきた。私は、それに返事をする事が出来なかった。怖いとかじゃなかった。16歳の男の子の人生を変えてしまう事になる気がしたからだ。


「凛、起きてた?」


「龍ちゃん、今起きた」


私は、スマホを布団に伏せた。


「行ける?」


「うん、起きるね」


「うん」


「凛は、やっぱり可愛いね」


そう言って、抱き締められる。


「そんな事ないから」


「そんな事あるよ!」


龍ちゃんは、何も悪くない。ちゃんと愛されてるのもわかってるよ。なのに、何でかなー。大昔に占い師に【妊娠を考えないのをして下さい。付き合いたてのようなのをして下さい。そしたら、出来ます】と言われて吹き出しそうになったのを何故か今思い出してしまった。

そんなの出来るならとっくにやってる。龍ちゃんとすると頭の中が【赤ちゃんが欲しい】で埋め尽くされるの…。それを削除出来る機能は、私には備わっていない。


私が赤ちゃんが欲しくて頼った占い師のほとんどが、早寝早起きや食事やそれの事でアドバイスしてきた。私は、そういうのじゃなくて妊娠出来るかどうかが知りたかった。だけど、言葉を濁されてばかりだった。都合が悪くなったら、【命の事だから…】と言われた。わかっている。だけど、すがり付くものがなかったんだよ。嘘でも【大丈夫です】って言って欲しかった。


「ごめん、起きるの邪魔しちゃって」


「ううん」


「じゃあ、用意して行こうか」


「うん」


私は、ベッドから降りた。洗面所にやってきて、顔を洗って歯を磨いた。いったい、いくらこの体に使ったのだろうか?占い師にも…。計算してないけど、結構使ったと思う。服を着替えると龍ちゃんは、リビングでテレビを見ていた。


「この俳優さん、子供出来たんだって」


「へー」


昔は、芸能人の妊娠報告にもイライラしてた。今でも、複雑な気持ちにはなるけれど…。知らない他人だから、関係ないと思えるようになった自分を褒めてあげたい。


「じゃあ、行こうか?」


「うん」


龍ちゃんと二人で一緒にいつものスーパーに行くのってどれくらいぶりだろうか?ほとんど、私、一人で行ってたから…。

私が、ダラダラとしていたせいで時刻は、夕方の16時を回っていた。

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