脳内をリセットしたい
そんな事を考えながら寝室にやってくると…。脳内に悲しみや苦しみが溢れてくる。自分じゃどうやったって、手に入れられなくて、医療にも頼れなくなったポンコツを認めなくちゃいけなくなって悲しくなる。龍ちゃんとたくさん喧嘩した事も甦ってくる。
拓夢に会ってリセットしたい。そう思う度に、今になって罪悪感がやってくる。でも、どうやっても無理なんだよ。
「龍ちゃん、ごめんね」
眠ってる龍ちゃんに抱きついた。涙で龍ちゃんが滲んでる。
私じゃなかったら、きっと龍ちゃんは今頃パパになってた!20代の女の子掴まえて、浮気して、肌重ねてさー、いっそ赤ちゃん産んでもらいなよ口が裂けても言えない言葉が脳内を回っていく。
龍ちゃん、その方がきっと幸せだと思うよ!涙を拭いながら、龍ちゃんを見つめる。愛してるだけじゃ無理なものを私は、大人になって初めて見つけた。愛もお金も意味がないものを私は、初めて見つけた。
「龍ちゃん、ごめんね」
もう一度口に出して、龍ちゃんに抱きついた。もう、龍ちゃんじゃ脳内をリセット出来ないんだ。
もう龍ちゃんじゃ空っぽにならないんだ。
本当に、本当に、ごめんね。龍ちゃん
私は、珍しく龍ちゃんにしがみついて眠った。
ピピピ、ピピピ……。
「おはよう、凛」
「おはよう」
目覚めると龍ちゃんに顔を覗き込まれていた。
心の奥の方まで見透かされている気がして、目を反らしそうになった。
「まだ、眠い?」
「うん」
龍ちゃんは、私が眠いと思ったみたいだった。
「まだ、寝てたら?俺、朝御飯食べるから」
「うん」
そう言うと龍ちゃんは、ベッドから降りてキッチンに向かった。スマホを取り上げて見つめる。
結構寝ていたようだった。拓夢からメッセージが入っていた。いけなくなった事を伝えた。本当は、今、凄く拓夢に会いたい。会って、沼に溺れさせて欲しい。この身体を沈めて欲しい。何もかも忘れたい。忘れさせて欲しい。
私は、不倫ってものを勘違いしていたのかもしれない。拓夢に出会い、自分がするようになった今。不倫は、正義の味方のようなものの気がしていた。龍ちゃんに対する罪悪感が生まれてきたけど、私…。まだ、この関係を続けるつもりでいる。
「ラーメン買いについてきてくれる?」
龍ちゃんの声がして、わざとスマホを置いて目を閉じた。
「凛、まだ寝てたかー。ごめん」
よしよしって頭を撫でられているのを感じて泣きそうになる。
「もう少ししたら、また来るから」
龍ちゃん、ごめんね。私、今、龍ちゃんの顔を見れない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます