月一にして…

龍ちゃんは、私の隣にゴロンと横になった。


「明後日から、三日間出張に行く事になった」


「そっか…。何で?」


「後輩がミスして、関西に行く事になった。ごめんな!凛」


「ううん」


その言葉に、嬉しいって思ってしまった私は最低だ。


「一人でいれる?」


「大丈夫だよ」


「それなら、いいけど」


龍ちゃんは、そう言って私の事を引き寄せる。


「目見せて」


「もう、痛くないよ」


「いいから、見せて」


「うん」


私の瞳に龍ちゃんが映っているのはわかる。私は、龍ちゃんを見つめながらも本心では目を反らしたかった。


「睫毛とれてるみたいだよ」


「そうだね」


龍ちゃんは、私の体に触れてくる。


「明日休みだから…」


「?」


「大丈夫だよ!凛も俺も、まだ若いから」


「そうだね」


苦笑いにならないように笑ったつもりだった。


「あっ!明日スーパー行かなきゃ!」


「どうして?」


「向こうで、売ってないラーメン買っていきたいんだ!ついてきてくれる?」


ついていくと言わなくちゃ不自然だから頷いた。でも、実際は凛君に会うから行きたくなかった。でも、龍ちゃんが好きなラーメンはあそこにしかなかった。だからって私だけで行くって言うのも不自然だった。


「凛、眉間に皺寄ってるよ」


「えっ?あっ!ごめんね」


「何か考え事?」


「ううん」


「それならいいけど!あのさ、凛」


「何?」


「俺、凛とずっーといるから」


「どうしたの、急に…」


「凛が嫌だって言っても、本当に心底嫌じゃないなら一緒にいさせて」


「龍ちゃん、何言ってるの?」


龍ちゃんは、私の頬を優しく撫でる。


「治療継続できなくなってから、何か凛が不安定だなって思ったから!どこか、危なっかしいっていうか…。いなくなりそうな気がして」


「龍ちゃん、ごめんね」


「いいんだよ!凛は、何も自分を責めなくて」


「龍ちゃん、ごめんね」


「謝らないでいいんだよ!凛が、俺を愛してるのはわかってるから」


「うん。じゃあ、ご飯作るね」


「お腹すいた!」


はぐらかすようにしてベッドから降りた。昔、不倫をする妻達と言う番組を見た事があった。【夫の事は、愛してるんですよ!でも、ほら、もう無理なんですよねー。今さら、家族になって…。だから、妊娠とかも出来ないわけですよ!でも、求められたらしなくちゃいけないじゃないですか…。だから、バレないように月一でしてます】あの時は、何てワガママな人なのだろうと思った。だけど、今、私も出来る事なら月一でお願いしたいぐらいだった。龍ちゃんは、何も悪くないのはわかってる。

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