凛が好きだ【カクヨム版】

「はぁ、はぁ」


息が上がった。俺は、凛を抱き締める。体が波打った。


「拓夢、頭の中真っ白だった」


その言葉にホッとして凛から離れた。それをゴミ箱に捨てる。


「綺麗にしてあげようか?」


「いいよ!これで」


俺は、凛にティッシュを差し出した。凛は、笑ってティシュを取った。


「昔、親にさ」


「うん」


「自慰行為し続けたら馬鹿になるって言われた事あったんだけどさ」


「うん」


「本当に、セックスしすぎたら馬鹿になるわ」


俺の言葉に、凛は笑ってる。


「思考が快楽に乗っ取られておかしくなりそうだった!だけど、今はそれが必要だった」


「わかる」


「絶望を快楽にかえるしか出来ない」


俺は、凛の髪を優しく撫でる。


「私もおかしくなりそうだった。それに、自慰行為し続けたら馬鹿になるって意味わかる気がする。頭の中、セックスしか考えられない行為。だから、好き」


「凛も一人でやるの?」


「駄目かな?」


「駄目じゃないけど…。それは、何で?」


「夫とすると妊娠ばっかり考えて、ちゃんといけない。満足できない」


「今もだった?」


「違ったよ!今は、頭の中真っ白だった。泥々した沼の中に溺れてもいいから…。拓夢としたい」


「沼みたいなセックスがしたいって事?」


「うん」


凛は、そう言って頷いた。


「捨てるよ」


「うん」


それを丁寧に拭いてくれたのを手にとって、ゴミに捨てる。


「拓夢を好きになっていいのかな?」


「いいよ、凛」


「もう、苦しみたくない」


「苦しまなくていいよ。俺が、苦しみを取り除いてあげるから…」


優しく凛の頬を撫でる。凛は、俺の手を握りしめて頬擦りする。


「頭の中、快楽だけで埋め付くそう」


「変態だね」


「一人でしてる人に言われたくないよ!どうやって、してるの?今度、見せてよ」


「嫌だよ」


「嫌じゃないよ!凛」


「今度ね」


「うん!見せて!」


「わかった」


照れくさそうに目を伏せてる。凛のうつむいた顔の綺麗さにドキドキする。


「凛、好きだよ」


「そんな急に好きになるの?」


「なるよ!人間なんてそんなもんだよ」


「拓夢…ありがとう」


「何、それ?」


「こんな綺麗な男の人に、好きとか言われたら嬉しくてドキドキする」


そう言って、凛は俺の頬を優しく撫でる。


「じゃあ、凛も俺を好きになってくれる?」


「なりたいよ、拓夢」


「なって!忘れさせてあげるから…。赤ちゃん出来ない事なんか忘れさせてあげるから…。凛、大丈夫だよ」


俺は、凛のおでこにキスをした。俺は、凛を幸せにしたい。子供に縛られない道へ連れて行ってあげるから…。


俺は、凛を引き寄せて、抱き締める。


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