綺麗だね【カクヨム版】

繰り返しキスをし続けた。

ゆっくりと唇を離して、凛の顔を覗き込んだ。


「何で、そんな綺麗なの?」


「何言ってるの?」


「本当の事、言ってるんだよ」


俺は、凛の耳たぶにれる。


「そんな所、くすぐったいよ」


「凛の全部が欲しくなった」


「どういう意味?」


俺は、左手を掴んだ。薬指にはまってる指輪にキスをする。


「拓夢?」


「これ事、俺が引き受けるから」


そう言って、またキスをする。


「何かくすぐったい」


チュって音を立てながら、キスをする。凛は、俺を見つめる。


「んん」


「気持ちいい?」


「何か、変な感じ」


「凛、俺といっぱい色んな事しようか?」


俺は、凛の頬に手を当てる。


「色んな事?」


「そう、セックスだけじゃなくて、色んな事!駄目かな?」


「駄目じゃないけど」


「じゃあ、しよう。色んな事!俺は、凛を幸せにしたい」


「幸せだよ!今だって、ちゃんと…」


「そう言いながら、何で泣いてるの?」


「幸せだけど、足りないの。最低だよね」


「赤ちゃんが足りない?」


凛は、頷きながら泣いている。


「赤ちゃん欲しくて仕方ないんだね」


「ごめんね」


「旦那さんとの赤ちゃん欲しいんだね」


凛は、頷いていた。


「私、ワガママだよね」


「そんな事ないよ」


「だって、結婚出来ただけでも素敵な事でしょ?夫が生きてるだけでも素敵な事でしょ?幸せだって思わなくちゃいけないのに…。拓夢と不倫しようとしてる。私、ワガママだよね」


「ワガママじゃない。今は、凛にとって寄り道しなきゃいけないだけだよ。そうしなきゃ、凛は生きていけないだけだよ。だから、ワガママなんかじゃないよ」


俺は、凛の涙を拭ってあげる。


「忘れたいよ、拓夢。夫とセックスしたら、頭の中に赤ちゃんが欲しいが流れてくるの。赤ちゃん出来たかも!次は、絶対うまくいった。そんな風に脳内を赤ちゃんしか占めないの…」


凛の目から、大粒の涙が流れ落ちてくる。


「俺としたら、忘れられた?」


凛は、頷いた。


「もっかいしようか?」


凛は、涙を流しながら俺を見つめる。


「水飲む?」


恥ずかしくなって話をそらした。


「飲む」


凛の言葉に、俺は水を取りに行った。一度目は、興味本位で済むけれど…。二度目以降は、完全に裏切りなのがわかる。俺は、凛に水をあげる。


「ありがとう」


だからきっと、凛は答えられないし、進まないんじゃないだろうか…。

だって、俺に興味があっても好きかわからないわけだよ。そんな相手にもう一度抱かれるなんて裏切りも裏切りだよな…。

俺は、凛を見つめる。


「駅まで送るよ」


そう言った俺を凛は、引き寄せた。

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