(応募中)なろう100000PV☆不純異性行為～月と星が交わる場所へ～あの時の二人を救ってくれたのは紛れもなくこの愛でした～【皆月凛、星村拓夢編】【本編完結済】【カクヨム版

晩御飯【修正済】

私は、気持ちを切り替えて、玄関からリビングに入る。

夫が、帰宅するまで、後一時間半。

スーパーの袋から、牛豚ミンチを取り出して、手を洗って、玉ねぎをみじん切りにしながら泣いた。

人参をみじん切りにして、ピーマンのヘタの部分も細かく切って入れる。

私は、今、ピーマンの肉詰めを作っているのだ！

材料を混ぜながら、玉ねぎのせいにしてひたすら泣き続ける。

ピーマンにお肉を詰めてフライパンに並べて、味付けをして、蓋をして、煮込んでる間にご飯を炊いて、椎茸とあげの味噌汁も作る。

それが終わると、手を洗ってから、洗濯物を取りに行く。

中古でありながら、私達夫婦は、戸建てを買う事に決めた。

そんな私に雪乃が【家を先に買うと子供は出来ないらしいよ】と言って鼻で笑ったのを私は思い出していた。

この家の箱みたいな庭が気に入った私と夫は迷う事なくこの家を購入した。雪乃の言葉通り、買うのをやめておけば、よかったんだ。

私は、泣きそうになるのを堪えながら、庭から洗濯物を取り込む。

そして、いったん洗濯物を置くとキッチンに向かって、ピーマンの肉詰めの火を弱火にしてからまた戻る。

戻るとすぐに、リビングで取り込んだ洗濯物を畳み始めた。

近所は、子連ればっかり。小さな服が洗濯されて揺れてるのを見ながらいつかそっちに、いつかそっちにと祈るような気持ちで見つめながら洗濯物を干している。

友人のSNSや親戚の投稿を見つめながらも、私もこっちに私もこっちにって祈りながらハートをつける。

だけど、何の祈りも届く事はなかった。

「ただいまー」

「おかえり」

洗濯物を畳み終わると同時に夫が帰宅する。

「めちゃくちゃいい匂いだね」

「今日は、ピーマンの肉詰めだよ」

「やったーー！シャワー入ってくる」

「湯船のスイッチを押したらいれられるよ」

「あーー、今日は、いいや」

「わかった！じゃあ、ご飯用意しておくね」

「うん」

夫は、そう言うとお風呂場に向かう。私は、洗濯物を寝室のクローゼットにしまってから、キッチンに向かった。

キッチンにつき、ピーマンの肉詰めを確認するといい感じに煮えている。

お皿に盛り付けてから、トレーに並べて持っていく。

晩御飯を全てダイニングテーブルに並べ終わった頃に、夫がやってきた。

私は、キッチンに戻って、グラスに水を注いだ。

「はい」

「ありがとう」

夫に水を渡す。夫の名前は、皆月龍次郎（みなづきりゅうじろう）。

「龍ちゃん」

「何？」

「ご飯食べながら、話がある」

「うん、わかった」

「ビールは？」

「いる」

「持って行くから座ってて」

「わかった」

私は、冷蔵庫からビールを取り出して夫に渡す。

「はい」

「ありがとう」

「じゃあ、冷めないうちに食べようか」

「うん」

『いただきます』

いつものように、二人きりの食事が始まった。結婚して、13年。慣れたものだよね。

「美味しい」

「よかった」

龍ちゃんは、必ずご飯を食べる時、美味しいって言ってくれる。友人の美貴(みき)ちゃんが、【旦那は美味しいも言わない】ってSNSに投稿していたのを見たのを思い出した。

「やっぱり、凛の料理は最高だよ」

「うん、ありがとう」

私は、龍ちゃんに愛されているのをちゃんとわかってる。

わかってるけど、物足りない……。