ep.4 終幕

 あれから数か月がたち、問題なく譲り渡した珠樹たちの会社からゲームが正式にリリースされた。

 無名のゲーム会社からのニューリリースの為、余り注目されていなかったのだが、ある日突然注目を浴びることとなる。サンゴが仕掛けた情報操作が功をそうしたのだ。

「あら? これって」

 新たな仕掛けの準備をしているメノウが、たまたま視界に入ったネットニュースを見て声をあげた。

「ん? 何か見つけたのかい?」

「これ貴方が以前言ってた分よね?」

「あぁ、やっと効果が出てきたみたいだね」

 メノウが見ている画面を、横からのぞき込み微笑むサンゴ。仕掛けの話はある程度聞いていたが半分以上聞き流していて殆ど理解はしていない。それでもひとつ分かっているのは『自分たちに利益がある』ということだ。

「えーっと、効果が出てきたってことは、何かしらの収益が私たちにも入るってことでいいのかしら」

「あぁ、そうだな……もう少し時間がかかるとは思うけど、あの二人から得た倍くらいは手に入ると思うよ」

 倍、という言葉に思わずメノウは息を飲んだ。

 盗作を行った珠樹に対し、少しとはいえ痛い目にあってもらった。その後被害者とは共同でゲーム会社を立ち上げられるほどに関係は修復され、そして順調に利益をあげている。

 メノウとサンゴが彼らに対して行ったことは、決して正攻法ではない。

 最終的に誰も不幸になることなく、自分たちの利益が一番上がるように立ち回る二人は、また同じようにつけ込める相手を探すのであった。

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巡る因果と損得勘定 長月 八夜 @nagatsuki8ya

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