　麗しい精神

　美しい白い手

　日本指折りの学校出身で頭が良い。

　人付き合いもよくて

　良妻の母。

　学んでも、努力しても、神に祈ったとしても。

　まだまだ母には届かない。

　学問、家事全般、その他の教養もあり、品もある美人。

　学問は言わずもがな。

　料理も掃除も非の打ちどころがなくて、とても家庭的。

　教養もあり、どんな人とも談笑している。

　母はまるで聖母のよう。

　残りの人生で母に勝るものや

　同等になるものがあるのだろうか？

　私はまだ見つけることはできていない。

　いくら自分を研鑽してもその上をゆく母に嫌気もさすが、

　それ以上に尊敬もしている。

　母にできるものは手を出してみるけれども、自分の不器用さに腹が立つだけだった。

「才能はない。けれど努力の才能だけは母よりも上回っていたい」

　それはただの見栄であり、出来損ないの願望であるのだが、何週間、何か月、何年かをかけていけば同じような技量になっているはずだ。

　ねぇ、日本にいる八百万の神様、私の努力だけは才能って言ってよ。

　頑張るから、願いをかなえて。

　END

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