第3話
「男でめぐみって名前は珍しいね、ねーちゃん」
「そうだな。しかし、なぜこの男が女ものを持っていたのか、不思議だな」
「ねーちゃん、そーいう趣味なんだよ。察しようぜ」
「ああ、安易に他人の心に踏み込んでいけない、そういう教訓か」
「そーそー! 周波数で捕まえると、こういうレアケースがあるからおもしろいよね」
「しかし、今回はハズレのようだな」
「とっとと、元の場所に戻しておく?」
「いや、まだ調べよう」
ぼんやり聞こえてくる声に、俺は寝起きのよう意識がもうろうとしている。
よくわからない。全身の力が抜けて、横になっているようだ。
「う……うう……」うめくと、驚く声がした。「お、目が覚めたか?」
幼い声、女の子か?
「ねーちゃん、とっとと起こして話をしよーよ」
少年の声がすると、ビリリリ!
「いっ、ッツア! なんだよ、なんだ……え!?」
脳から全身へと電流が走った。俺は飛び起きたが、ベッドで手足が縛られていた。
首を左右に振ると、左側に台のような機器に乗る小人の二人、少女と少年が俺にお辞儀した。
「はじめまして、高橋メグミさん」
「いや、違うから……俺、赤間ユウマって、名前だから」
「え? でも、この荷物……盗んだの?」
「マジかよ! 女の子のバッグを盗むなんて変態だぞ!」
「違うから! てか、なんだ君ら。ちっさ!」
「ちっさい、いうな! 地球だとちっさくなる仕組みなんだよ、アホ地球人!」
「お、怒られた? なんか、ごめんなさい」
「こちらこそ、ねーちゃんが怒鳴ってごめんなさい」
青髪の少年が怒りに震える赤髪の姉を羽交い締めで抑えながら、俺に謝った。
「あの、このバッグ、本当に盗んでないんですか?」
「そのバッグは」俺は思い出す。「先輩にそれを届けようと走っていったら、急に目の前が白く光り出して、体がなぜか浮いて……ダメだ、思い出せねぇ」
「それ、僕らの仕業なんです。この機械の周波数に合う脳波を探していたんです。そしたら、あなた、高橋メグミさんが」
「いや、だから、俺は赤間ユウマ。人違いだって」
「な、なんだと!?」二人は顔を見合わせた。「別人なのか?」
ずーっと説明して、ようやく理解してくれたようだ。頭の上のほうから声がする。
「申し訳ありません、スカーレット大佐!」
「どうした?」
大佐? 軍人? どういうことだ?
俺は彼らの会話に聞き耳を立てる。
「その男の脳波ではなく、女性の脳波でした! 人違いです!」
「貴様、なんて愚かなことを……!」
「申し訳ありません! てっきり、レアケースかと」
「バカ者! 今頃、その子が怪人に襲われたらどーすんだ!」
「す、すみません! 切腹いたします!」
「やめろーっ!」
「うわーっ!」
と叫びとともに部下の人が悲鳴を上げ、ガンガラガシャーンと、何かにぶつかったようだ。
男の子が俺にいう、「気にしないでください」
「いや、無理でしょ」
「ねーちゃん、部下思いなんです」
「部下の人、うわーって言ってたけど」
少女のほう、よく見れば頭の上に丸い蛍光灯が浮かんでいる。もしかして、
「もしかして……天使ですか?」
「いいえ、僕らは宇宙人です」
「え、宇宙人? あのどーも、はじめまーー」
「挨拶はあとだ」
赤髪の少女は至妙な顔つきで俺に告げる。
「赤間ユウマといったな、今すぐ戦え。でなければ、高橋メグミは死ぬ」
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