第12.??説 ???は✖✖✖。

「・・・ぃ・・・ぃ・・・い・・・。」


まただ。また、何か聞こえる。

心地の良い音楽の中でノイズのように聞こえる誰かの声。

僕を呼んでいる?呼んでいない?何を言っているのかわからない。

ただ、この音楽の邪魔だけはしてほしくない。


「お・・・・・・い・・・・い・・・・お・・・。」


何だ?さっきよりノイズが大きくなったような?気のせいか。

そんな気がしたような、しなかったような。

わからないけど、音楽の邪魔をするならどうにかしなければ・・・。

ん?そう言えば、何でこの音楽は心地良いんだろうか?

僕の聞いたことない音楽なのに。


「おい・・・・おい!・・・・飲まれて・・・い!・・・・。」


のまれて?何が言いたいんだ?どうやってこの音楽を止めれるんだ?

ん?ノイズを消せばいいのか?あれ?あれ?あれ?


「おい!・・・しっかり・・・じぶ・・・・おい・・・。」


しっかり・・・どういうことだ!おい!聞こえてるのか?

僕の声が聞こえてるのか!!誰に?何が?え?あれ?

何でこんな必死に?ん?どうでもいいのかな・・・。


「飲まれるぞ!!しっかりと自分を思い出せ!!お前は何者だ!!!。」


飲まれる?自分?何者?僕は・・・僕。あれ?僕じゃない?僕は・・・誰?

誰だっけ?いいや、僕か。本当に?僕なのか?僕じゃない。そうだ、僕だ。

え?でも、ここは何処か知らないのに何で僕は僕だって?違うのか?いいや、僕だ。


「名前を叫べ!思い出を脳に浮かべろ!お前が何者か分かればそこから出られる!!しっかりしろ!」


僕は・・・。

思い出・・・。いもうと?いも?いもう?・・・・妹。そうだ!妹!


「いいぞ!思い出せ!思い出すんだ!!名前を叫べ!!!」


僕は・・・僕は・・・僕は・・・僕は!

そうだ!僕はエンモン族!ウキキの兄のオラン!!僕はオランだ!!!

妹がいるんだ!!帰らなくちゃいけないんだ!!!!


「そうだ!来いオラン!!」


いつの間にか音楽は止み、視界には古びた部屋が見える。

目の前の椅子に座るリザードマン族の男が笑っている。

どうやら僕は僕自身を思い出せたようだ。


「よく来たオラン!お前を待っていたぞ!」

「僕を?ここはいったい・・・。」

「ここは魔王の小部屋だ。」

「ま、魔王!?どういうことだ!!?」

「詳しく説明してやる。時間は今のところは十分にあるからな。まぁ、まずは自己紹介だな。俺の名はシーファ。見ての通りリザードマン族だ。よろしくな!」


ニカッと笑い、灰色の鱗に覆われた手を差し伸べられる。

オランは自然とその手を握った。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る