第59話 マロリーside2
「それに、二年後にはダリル様とコンラッドも狙う予定なの」
するとトリニティは「うちの可愛いコンラッドだけは絶対に渡さないわ」と言ったのだ。
誰も狙っていないと言いながらも、トリニティはコンラッドを渡さないと、我儘な事を言ってくる。
それなのに……。
「逆ハーなんて欲深い事を考えていると、いつか身を滅ぼすわよ?」
その言葉にトリニティを睨みつけた。
何故こんな馬鹿な奴に指図されなければならないのだろうと思った。
「こんな事をしていて、貴女は本当に幸せなの?」
そう、マロリーはもう悪役令嬢ではない。
乙女ゲームの『マロリー』はいなくなったのだ。
「そうね、全然違うわ。でもこれだけは言っておくけど、アンタみたいな奴にはコンラッドは渡さない」
そんな言葉を残してトリニティは去って行った。
(なんであんな奴に馬鹿にされないといけないの!? 信じられないわ)
折角こちらから声をかけてあげたのに、トリニティは冷めた態度で見下したのだ。
トリニティの背中が消えるまで、ずっと睨みつけていた。
(私を侮った事、後悔させてやる….…)
トリニティと会った後に、取り巻きの令嬢達とケールとサイモンの前で涙を流した。
そうすればトリニティは簡単に『悪』になった。
屋敷に帰ってからマリベルに報告すると、マリベルは『絶対に許してはいけない』『その女はお嬢様を破滅させるでしょう』と言ったのだ。
マリベルに縋りながらどうすればいいかと尋ねると、マリベルはマロリーが皆にもっともっと愛される為には『トリニティを排除する必要がある』と教えてくれたのだ。
(私がもっともっと愛される為に、あの女が邪魔なのね!すぐに私の前から消してあげる)
すぐにマリベルの言う通りに動いた。
トリニティの悪い噂はすぐに広まった。
けれどクラスが違うことで、悔しがるトリニティの顔を見ることも出来ない。
トリニティを追い詰めきれずにモヤモヤしていると、次第にトリニティはマロリーを完全に無視して普通に友達を作り、ダリルの兄である国の宝、天才デュランと仲良くしている。
(なんて小賢しい女なのッ!)
考えつく限りの嫌がらせをトリニティにするものの全て失敗。
心は日に日に荒んでいく。
トリニティを貶めてやろうと、下駄箱に泥を詰めたり、水を被ったり、自作自演で階段から落ちたりしたもののトリニティの味方であるデュランがマロリーの前に立ち塞がる。
足の角度や落ち方、怪我をした場所、トリニティがいる位置などから、落としてない事を皆の前で論破されて赤っ恥をかいた。
そして此方の存在を無視するトリニティに対して、作戦を変えることにした。
学園の教師を落とし込んで巻き込むも、やはり失敗してしまう。
あろうことかトリニティは普通に学園を楽しんでいる。
「どうして!? どうして上手くいかないのッ!」
「……」
「マリベルッ! どうにかしなさいよ!」
「お嬢様、落ち着いてください……このままだとお嬢様は、皆に嫌われて一人ぼっちになっちゃいますよ?」
「いや……! それだけは絶対に嫌よッ!!」
「フフッ……大丈夫、さぁ私の言う通りにしてください」
「一人になりたくないっ! 嫌われたくないのっ!」
「可哀想なマロリーお嬢様……マリベルは絶対、お嬢様の味方ですから」
しかしマリベルの言う通りにしているつもりなのに、何故か上手くはいかなかった。
そしていつの間にか周囲から冷めた目で見られるようになった。
最高学年になった時、自分はFクラスのままなのに、ケールとサイモンはAクラスに行ってしまった。
ケールとサイモンは今年はダリルが入学してくるから、家を継ぐ気があるのなら目を覚ませと言われたらい。
すると周りにいたはずの令嬢達は自然と離れて行ってしまった。
ケールとサイモンが居なくなった途端、誰にも相手にされなくなった。
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