第50話 コミカライズ27話 公開予告SS


 この日ユンボは、珍しくディアス達のユルトに入っての取材を行っていた。

 取材対象はアルナーで、主にアースドラゴンの弓やゾルグについてを取材しようとしていて……アルナーは出来る範囲でユンボの質問に答えていく。


 質問に答えるだけでなく、弓についても普通に手渡してくれて、いくらでも調べると良いと言ってくれて……ユンボはメモを取りながらアルナーの弓についてを調べていく。


「というかだ、わざわざここに来てまで調べなくても、アースドラゴン素材なら身近にあるだろうに」


 調べている中で唐突にアルナーにそんなことを言われてユンボは、首を傾げながらメモを取るペンを走らせていく。


「ほら、それ、そのペン、少し前にディアスがお前に贈ったそのペン、そのペンだってアースドラゴン素材で作ったものだぞ、柄をよく見てみろ」


 ペンを走らせ続けている中でそんなことを言われてしまって、傾げていた首を更に傾げたユンボは……傾げながらペンに目を近付け、自分が持っているペンの柄をよぅく見てから、その素材が尋常のものではないとようやく気付いて、慌ててペンを空中に投げ出し……投げ出しながらも地面に落とさないようにと拾い上げようとして、大慌てでのお手玉状態に突入する。


「少し前にナルバントがインクを吸いやすいペン先とやらを作ってな、それに余っていたアースドラゴン素材を合わせて作ったのがそのペンだ。

 微妙な余り方をしていたせいで他に使い道もなくてな、ちょうど良いということになったという訳だ。

 お前もまぁ……問題がないとは言わないが頑張っていて、エルダン達がコミックの完成をとても楽しみにしているからな、その応援……という訳だ。

 アースドラゴン素材について詳しく知りたいならそのペンや、犬人族に与えている竜鱗のマントなんかを調べてみると良い」


 そう言われてユンボは驚きながらも、改めて握りしめたペンを見やる。

 それには甲殻や鱗は使われておらず、どうやら何処かの腱か何かが使われているようで……ペンを見やった後に取材メモへと目を落としたユンボは、まさかと思いながら手にしたペンに魔力を込める。


 するとペンの素材として使われた腱が柔らかくなり、ペン全体がふんにゃりと曲がり……それを見たユンボは、なんという素材でペンを作っているんだと驚き、呆れながら……仕事中は魔力を込めないように注意しないとなと、そんなことを思うのだった。


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