第15話 コミカライズ第4話公開予告SS


 今日も広場でユンボのコミック作りが進められている。


 今回はメーアの出番が多いからと、フランシスにモデルを頼み、様々なポーズをして貰いながら作業を進めるユンボの側にはフランソワの姿があり……フランソワはユンボの絵が完成する度に、その蹄で絵のあちこちを指し示しながらメァーメァーメァーメァーと声を上げている。


 フランソワがそう声を上げる度にユンボは何やら絵に修正を加えていて……どうやらフランソワはそうやってユンボの絵の監修をしているようだ。


 一体どんな絵をユンボは描き、そして一体どんな監修をフランソワがしているのかが気にかかり、そんなユンボ達に近付いて絵が完成する様子と、監修に従い修正する様子を、ユンボ達の背後から静かに眺める。


 笑顔のフランシス、元気に歩くフランシス、ぐったり横たわるフランシス。

 

 と、そんな内容の絵が完成すると、フランソワは描かれたフランシスの毛の部分を蹄で指し示し、メァーメァーと鳴く。


 その鳴き声に従って描き上げた絵に修正を加えていくユンボ。


 そんなユンボとフランソワの様子と、修正された絵の出来具合から察するに……どうやら『毛全体をもっと柔らかく』とか『毛並みをもっとフワフワに』と、フランソワはそんなことを言っているようだ。


 どうやらフランソワにとっては表情だとかポーズなどよりも、自分達の毛がどんな風に描かれているかが問題であるらしい。


 フランシスとフランソワはその毛が私達の役に立っていること、その毛が私達の日々の生活の中で使われていることを誇らしく思っている節があるので……毛に対するこだわりが特に強いのかもしれないな。


「メァーメァーメァーメァーメァメァ、メーアー!」


 そんな声を上げながら修正を指示するフランソワと、それに従い懸命に絵を仕上げるユンボ。


 そんな二人のこだわりの作業は日が暮れるまで続き……私はいくつものポーズを取らされた結果ヘトヘトになっているフランシスを見て、これが終わったらたっぷりと撫でて、労ってやろうと心に決めるのだった。



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