第12話 コミカライズ3話 公開予告SS


 犬人族のユンボが描いたコミック。

 その新作を受け取り読みふけっていた私は、その内容にうん? と首をかしげる。


 私の知らない、全く覚えの無いシーンがそこに描かれていたからだ。

 

 私の近くで私の感想を、まだかまだかと待っていたユンボにそのことについてを尋ねると、ユンボはすぐに答えを返してくれる。


 どうやらこのシーンはアルナーから聞いた話を元に描いたものであるらしい。


 確かに思い返してみればあの時の私はただただ夢中で、自分のことだけで精一杯で、アルナーの細かい様子にまでは気を配れていなかった訳だが……うぅむ、あの時のアルナーはこんなことになっていたのか。


 驚かされるというか、なんというか……こうして他人の視点を交えて見ると新たな発見があるものだなぁ。


 そうした新たな発見の中には、自分の行動のダメな部分というか、いくつかの反省点があり……そういう点では勉強にもなるかもしれないな。


 こうした発見があるのも、コミックの面白い所なのかもしれない。




 そうして私が、どこが良かったどこが面白かったとの言葉と共にコミックをユンボへと返すと、ユンボは大喜び二度三度と跳ねてから、大事そうにしっかりとコミックを抱えながら駆け出して、村の皆にそれを披露しに行く。


 そうして聞こえてくる皆からの様々な感想の声達。


 ……中には私の顔が面白い、可愛いなんて声もあって……確かにそんな部分もあったなぁ。


 セナイとアイハンは特にその部分を喜んで、楽しんでいるようで……まぁ、うん、二人が喜んでいるのならそれも良いだろう。



 アルナーがあれを読んでどんな反応をするかも気になる所だが……まぁ、今は村に居ないようだし、夕飯の時にでも感想を聞いてみるとしようかな。

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