第6話 初陣
今回、集めたのは総勢約五千の新兵たちであった。
知ある者達は、偵察や、手紙の受け渡し等の仕事を命じられた。
武ある者達は、今川氏豊から奪われた織田信秀が統治する那古野城
を奪還を目的とし、今川本軍三千と新兵三千で編成された。
大原雪斎を大将にし、岡部元信が先陣として、新兵たちの将となった。
新兵には当然、プレイヤーたちも大勢いた。
脱走は死罪。敵前逃亡も同様に死罪とされ、指名手配の対象者にもなった。
プレイヤーたちは皆、今川義元の本来の強さを知っていた。
だから、今川家を選んだのだが、それは甘い考えでしかなかった。
最前線に立たされ、武功を上げるには敵を大勢倒すしか道は無かった。
唯一の希望は、大将が岡部元信であった事だった。
しかし、岡部元信の周りには直臣のNPCたちが守りを固めていて、
自分たちの大将は、足軽大将でしかなかった。
近くにも近寄れない程の信頼度しか無かった。
唯一、岡部元信の兵士として加えられたのは、真田蒼紫であった。
進軍の法螺貝がひび割れたガラスを崩すように鳴り響き、
プレイヤーたちは前進して行った。
織田家の家紋が入った旗が
旗が見えた。
その家紋を見て、プレイヤーたちは安心した。
河尻秀隆であったからだった。
今までのゲームでは弱かった武将であった為、彼の強さを過信していた。
河尻秀隆の陣には黒母衣衆筆頭として彼は中央に堂々と座り、周りは黒母衣衆が固めていた。
お互いの陣が近づき、足軽大将は配下に突撃を命じ、自らも突っ込んだ。
プレイヤーたちも同じくその勢いに気勢は高まりを見せ、突進した。
河尻は黒母衣衆に弓隊への合図を送るよう指示を出した。
バタバタと仲間が倒れて行く中、徐々にお互いの距離が縮まり出した。
乱戦になるであろう頃合いに、大原雪斎は岡部元信に突撃の指示を出した。
岡部元信は雄叫びを上げて仲間の士気を高めると、槍の穂先を河尻に向けた。
いち早く突出を見せたのは真田蒼紫であった。
岡部はそれを見て「我に続け!!」という声と共に一斉に全速力で駆けた。
大勢のプレイヤーは河尻秀隆に対して、高すぎる壁を見るように感じた。
今までのようにはいかない事を実感した。
誰よりも早く動いた真田蒼紫の一撃は、試合で見せたような剛力で
エリート部隊である黒母衣衆を次々と倒していった。
そして目の先にいる河尻秀隆までの道を、受け身を取る黒母衣衆ごと
弾き飛ばした。
「ここまで来るとはなかなかやりおるわ。墓標にその名を刻んでやろう。
貴様の名は?」
「我が名は真田蒼紫!!」
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