第4話 PCとNPC
勝者の証として、割符を渡され、明日もまた来るよう言われた。
滞在期間の間の寝食は十分すぎる程の金子だった。
和尚から貰った金子よりも遥かに多い黄金を手渡された。
勝者の出口には一人の少女が立っていた。
出で立ちも見た事も無いような恰好で、露出も多く、こんな昼間から
勝者の黄金を狙った客引きだと真田は思った。
彼は断る仕草をしたが、相手もその意味が分からないように見えた。
「女。俺は女は買わん。よそへ行け」と男は言った。
そう言うと女は近づいてきて神妙な顔つきで話しかけてきた。
「PCでしょ? まさかNPCなの?」
「何の事だ? 俺は田舎の出だ。それは町の言葉なのか?」
少女は疑いの目で見ながら、呟くように悩んでいた。
「今川さんなら確かに安全だけど、出世するにはライバルが多すぎるのよねー。
三国同盟があるから、武田さんと北条さんの武将とも仲良くなりやすいからかな?
うんうん。それなら今川さんが死んでも武田か北条に仕官するのも簡単だものね」
少女は納得したように、軽く何度も頷いていた。
「お兄さんがPCかNPCのどっちでもいいから、私と仲良しにならない?」
真田は結局は客引きかと思った。
「よくわかんねーが、仕官したてでやる事もある。ここから出てくる奴は
金持ちだから、何人かに話しかければ引っ掛かるはずだ。その恰好なら
大丈夫だ」
少女はフレンド申請をしたが反映されなかった。
「お兄さん、NPCなんだね。それでも仲良くなったみたいだから
大丈夫。またどこかで会ったら今度は飲みにでも行こうね」
少女はそういうとその場から立ち去って行った。
「どうだった? あの男はPCだっただろ?」
「分からなかったの。設定でフレンド申請を無しにしてたのか、
NPCだったのかなー」
「ひとまずはNPCで無いなら問題ない。仲間には引き込めない
ようだったが、少しだが友好値が上がったようだから、また
見かけたら話しかけて更に友好値を上げておいてくれ。あんな
強い奴とは戦いを避けなければ生き残れないからな」
「うん。分かった」
それから一月ほどがたち、武と知の選抜は終了した。
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