第5話 俺たちにメリットある?
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「最初のチャレンジは『陸上ドローンの
スピーカーから、冒頭の男とは違う高めのトーンで放送が流れた。
総勢六人で行動することになった私たちは、周囲を警戒しながら当面の目標を確認しあった。
「なあリーダー。……あんたがリーダーってことでいいんだよな?」
「あ、ああ。そうなる」
最初に私に話しかけてきた男がリーダー。それに私、最初に声をかけた女の子。これが最初の三人。
そのあとは断られ続けたらしいが、三人組の若い男が声をかけてきたらしい。
「まずはその子の回復、ってことでいいんだよな?」
「そうだ」
「それ、俺たちに何かメリットあんの?」
ない。
「……協力と言っただろう」
「まあそうだけど。今の放送さ、聞こえてたでしょ。俺たちはこのチャレンジ、挑戦したいんだよね」
「報酬が目的か? 挑戦は好きにすればいい。だが、いざという時に任務よりもチームを優先してくれなければ困る」
「わかってるよ。でもチーム組んでたら一緒に行動しなきゃいけないってわけじゃないでしょ」
「それはそうだが」
「だから、まあ、リーダー達が挑戦しないならさ。この任務が終わったら合流しようってことで。じゃあね、手が空いてたら蜘蛛の一つでも壊してくれると助かるよ」
そう言って、男たちはその場から離れていった。
「大丈夫?」
「……ああ、大丈夫だ。元々チームなんて口約束だからな」
「ならいいけど」
「それよりそっちの子、大丈夫か」
「これでも自分で立ててるから大丈夫だよ」
私の裾をつかんで離さない女の子がいる。背が低い、髪が長い子だ。
リーダーに頼んで最初に声をかけたのは、この子が床にへたり込んで上の空だったからだ。
「そうか。……そうか?」
リーダーは疑わしげだが、裾を掴まれている私には伝わってくる。少なくとも、へたり込んで動けなくなることはあるまい。
「とりあえず、あんたの回復だな」
「部屋の向こうの壁に触ればいいんでしょ? 今なら余裕だよ」
ゲーム開始から約五分、私はライフを二つ失った。
低空飛行しているドローンに気を取られて、蜘蛛型を跨ぎ越してしまったのだ。
同じタイミングで、全プレイヤーから一定数のライフが失われたことで回復手段の出現が告知された。
プレイヤーのスタート地点とちょうど反対側の壁一面、高さ1.2mの位置にランダムで出現するスイッチを押し込むこと。これでライフが一つ回復する。
スイッチは一度押し込むと消失し、別の場所に出現する。
「まだまだドローンはゆっくりだ。ルート取りさえ間違えなければいい。今のうちに回復しよう」
「そうね、お願い。一緒に行きましょう。……今の嫌味?」
「そういう訳では……」
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