第44話 グランディア2(RPG)

 ドリームキャスト(以下略ドリキャス)では数少ないRPGというジャンルであり、ドリキャス最高のRPG(ロールプレイングの略語)とうたわれたグランディア2。


 前作から数年が経ち、待望の続編となったが前作との繋がりは全くなく、前作のような冒険活劇がグランディアのイメージではなく、物語の路線を変えてもグランディアは面白いゲームと思わせたかったらしい。


 ──無印と同じくキャラ絵は2D、マップや戦闘シーンは3Dと、アニメとフルポリゴンという二つの映像を組み合わせた複雑な仕組みにしているが、ハードが3D表現がうまくできるドリキャスになったため、3Dの演出が増えた。


 ──イベントシーンなども3Dのキャラが色々と行動するようになり、ムービーでは8頭身のキャラに変化。

 ただし、キャラは口パクなどはしないので、この手のRPGをプレイする人には不自然に感じるだろう。


 そのキャラたちがアップになると人形劇を観ているような感覚になり、さらにキャラはフルボイスではない。

 豪華声優陣を起用してるだけに、どう考えても『こんな重要なシーン、喋るなら今でしょ‼』と抗議したい衝動にも駆られる……。


 ──今回は光の神グラナスと闇の悪魔ヴァルマーの争いから長い時間が経過したテーマの作品であり、グラナス教会に所属しているヒロインのエレナと、彼女の内心にとりついたヴァルマーの翼によるもう一人のヒロインのミレーニアという一人二役の立ち位置となっており、物語を進める上でどちらかの人物像となり、ダブルヒロインという役割になっている。


 ──正統派で品のある女の子のエレナと、セクシーで大人な女性のミレーニア。


 この二人が入れ替わる時は顔や体つき、服装に至っても変化し、全くの別人と成り果てる。

 知らない人が見たら同一人物とは思えないほどだ。


 そんな二人に対し、主人公のリュードは優柔不断な性格であり、どちらのヒロインにも好意を抱くため、はっきりとしない態度にミレーニアは毎度腹を立てる始末だ。


 ──この物語は剣士の村で腕を磨いていたリュードが兄のメルフィスが起こした事件で村から追放され、当てのない長い旅路をしながら、何でも屋のモンスター退治を始める所からのスタートとなる。

 リュード自体はそのような過去をおおやけにはしないが、そういう心の闇の部分を丁寧に描いた作品でもあり、怪物の臓器のようなグロい描写もいくつか存在する。


 無印から三年あまりが経ち、前作よりも大人目線のストーリーにしたかったらしいが、ダンジョンまで内臓の中とはちょっとやりすぎである。


 ──主人公たちに敵対するヴァルマーは翼、舌、目、爪、角、体、心臓の部位があり、人々にとりつき、その対象としてある部位の感覚を狂わせていた。

 例えば舌にとりつかれた者は味覚を奪われたり、目だと普通は見えない人の腹黒い部分が見えたりと様々だ。


 この部位は最終的にはヴァルマーの持ち主でもあるミレーニアが吸収して無かったことにしてしまうが、その後は廃人同然の姿になってしまう。


 ──今回はよく人が亡くなるのも特徴だ。

 リュードにとっては師匠のような存在だった獣人のマレッグとの永遠の別れ、さらにリュードの兄メルフィスとの決闘の末による死などと衝撃的な場面もある。


 生と死の狭間で次々と人が倒れていくさまに前作のような少年漫画みたいな正義の味方みんなが何があっても無事で平凡な様子は微塵の欠片もない。


 ──しかし、前作と同様、街の人たちとの会話による様々な対応パターンは健在で、よくあるRPGにありがちな同じ会話を永遠と繰り返すということはない。

 無印からの宿屋などで食事を楽しむ食事システムでも今作は重視されており、好きなキャラと色んな会話ができる。


 ──魔法はマナエッグというアイテムをパラメーター画面で振り分けることで覚えることができるが、各ボスを倒すと必ず手に入るようになっており、アイテムを取り逃がして未習得できないということが無くなった。

 よって余程のことがない限り、敵にボコボコともぐら叩きにされてゲームオーバーになるパターンはない。


 ──戦闘はフィールドを移動しているモンスターのキャラに触れると始まりとなり、モンスターの後ろからこっそりと触れるとこちらが優位なバックアタックに、逆にいきなり不意をつかれるとモンスターたちに挟み撃ちにされたピンチの状態となる。


 バトルシーンも前回と似たようなシステムを継承しており、2では行動ゲージが大きくなって見やすくなり、いつ誰が攻撃をしてきたり、次の攻撃の決め手がより分かりやすくなった。


 ゲージの流れも色んなパターンがあり、バックアタックでは主人公の行動パターンが早く回ってきて、サイドアタックだとモンスターの先制攻撃が始まるようになる。


 しかし、強力な必殺技や魔法を放つときのシーンや演出が長く、スキップも出来ないため、続けてこのような攻撃をすると一回の戦闘が長時間に及び、全体的にだらけるようにもなった。


 ──前作のラスボスの最終形態と同じく、今回もラスボスが異様に弱いのも気になった。

 技や魔法のスキルを最大限にまで極めているラストバトルのせいか、こちら側が異様に強すぎて、ボコるだけボコってタコ殴りしているような状況になり、ただ強い技や上級魔法を連発しただけで余裕で勝ててしまう。


 この体だけが無駄にデカイだけが取り柄のグランディア最弱のラスボスの弱さはゲーマーの中で大きな批判を呼び、プレステ2に移植されたバージョンではラスボスは多少強めに設定されている。


 ドリキャスで作ったのだから、責任を持ってドリキャスで修正せんかい‼ とピコピコハンマーでツッコミたくなる。

 サターンで発売した無印ではサターンでファンディスクとして修正版を出しただけにだ……。


 ──また、惜しみ無く3Dに全霊を注ぎ込んだせいか、要領の都合上、前作と比べて総プレイ時間が若干短めな所も残念である。


 ──その後、プレステ2により、このグランディアの戦闘シーンをメインとした『グランディアエクストリーム』が発売し、無印と2のバトルシーンを引き継ぎ、やり込み要素の高いバトルは高く評価された。


 だが、プレステ2で5年ぶりとなる新作の『グランディア3』を発売したものの、悪い意味で歴史に残るRPGと叩かれて、ダメダメな王様プリンスゲームとなってしまい、以降、続編のリリースはない……。

 

 ──無印よりもボリュームは少な目だが、製作には倍の時間をかけて苦悩したと製作陣が呟いた本作グランディア2。

 ストーリーも秀作でバトルシステムも独特で面白く、RPG好きなら遊んで損はないゲームである。

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