第43話 ギルティギアゼクス(格闘ACT)

 パチンコメーカーとして有名だったサミーがセガの協力を受けて発売した対戦格闘アクションゲームの作品。

 ギルティギアの二作目であり、ドリームキャストでは初の移植作品である。


 ドリキャスは当時のゲーセンの基盤で開発していたセガが開発したNAOMI基盤とほぼ似たようなスペックを持っていたので、このゲームの移植には打ってつけで、このようにゲーセンそっくりそのまま丸ごと移植(丸ごとバナナ?)というのが流行っていた。


 特にこの時期はアニメ柄による2Dタイプの対戦格闘ゲーム(以下略格闘ACT )が異様なほどに流行っており、何かと新作が登場すれば家庭機種でも発売するという手法がとられていた。


 ドリキャスではキャラの音声が聞き取りにくい部分もあり、アーケードのように技のバグ行為もあるが、アーケードと遜色ない作りなので安心してプレイできる。 

 そもそも製作陣が、家庭機種用にわざわざ作り替えた? とも発言していたほどだ。


 ──キャラ名にハードロックやヘビメタなどによるバンドの名前をのせ、BGMはこれでもかというほどのロックにヘビーでメロディアスな音楽。

 制作者のリーダーが無類のハードロック、メタルバンドの音楽好きという理由から、このようなゲーム色に染まったらしい。

 後のシリーズに登場するスレイヤーとかそのまんまである。


 そのお陰か、これまで格闘ACTではメジャーだったストリートファイターやSNKの二大格闘ゲームが主流であったが、そこから新しい形の格闘ACTが出たと一躍有名となり、ギルティギアは今後の格闘ゲームに無くてはならないシリーズとなった。

 ただし、正式なナンバリングタイトルで売りに出していないので、『あのー、現在何作品まで発売してどんな状況なんですか?』と報道記者のように責められても私には意味不明である。


 しかし、このゲームは格闘ACT初心者にはとても扱いにくいゲームであり、空中コンボやガード破壊などの機能により、あっという間にライフを削られることが度々あり、初心者が上級者から手も足も出なくて、ぼろ雑巾のように倒されるというパターンが多かった。


 さらに必殺技を出す決め手となるゲージも相手に攻撃で攻めていかないと溜まらないテンションアゲアゲゲージとなっており、従来の格闘ACTのように防御をしつつ、慎重に攻撃という手が通用しない。


 ……というか消極的な行動をすると反対にノリノリだったゲージが下がるのだ。

 守りが決めての陰キャには辛いモードだった。


 敵からのダメージを受けて、その場でダウンして起き上がる瞬間にも攻撃ができ、その連鎖反応で体力ゲージが半分になる技もあるのだ。

 弁慶の泣き所か知らないが、何と何を半分こしたら、そんな大ダメージになるんだと思ってしまう。


 しかも技のコマンド入力も難しく、滑らすように技を出すというより、パスワードのような正確な入力が必要となっており、闇雲に入力しても、目的の技が発動するのはほとんどなく、まぐれ当たりでしかなかった。


 そのせいか、ゲーセンで稼働していても実際にプレイする人は限られ、そのあまりもの手さばき(手羽先?)に迂闊には入れないという見えない壁を作っていたことは確かである。


 ──初心者でも勝てそうな必殺技で相手を一撃で倒す超必殺技もあるが、わざわざリミットを解放し、画面が一瞬暗く染まり、いかにも『今から強力な技を放ちますよ!』みたいなモードに切り替えて、制限時間内に超必殺技のコマンドを入力するのだが、この発動自体が非常に目立つ行動のため、初心者がこの技で上級者に勝てることはまずなく、反対に返り討ちに遭うパターンとなってしまう。


 この超必殺技は上級者が何も知らない初心者を罠にはめるための技として、逆に利用され、初心者にとっては驚異の超必殺技になったことは言うまでもない。


 そんな初心者には取っつきにくいゲームだったため、今回のような家庭機種での移植はファンにとって嬉しい限りだった。


 ──2180年後半に開催された第二次聖騎士団選考大会。

 物語の主人公でもあるソルはバットガイという異名を利用して会場に出場。

 ギアの同胞でもある封印から目覚めたジャスティスを倒す。


 だが、一年も満たない間に新たなるギアの

復活によるディズィーの存在を魔の森で目の当たりにするのだ……。


 ──科学者であったフレデリック自らが改造したギアを体に埋め込んで、表向きにはソルという賞金稼ぎになり、ギアを生み出した張本人とその関係者を滅ぼすために放浪の旅に出る……などというこだわり抜いたファンタジーの世界観も強烈なうえ、前途に説明した反則的な連続技のコンボ、そしてアニメのようなキャラの動きに、スピード感のあるメタルなサウンド。


 それらを結びつけたの要素はファンの心を大きく掴み、これまでとは一風変わり、今までの格闘ACTのシリーズとは何かが(何が?)違う! という反応を思わせたのだ。


 こうしてギルティギアは爆発的なヒットとなり、続編も幾度も発売し、ドラマCDやコミカライズにもなった。


 ──サントラも大人気となり、このゲームのメロディーをリアルなハードロックにアレンジした邦楽ロックバイトのLa'cryma Christiなどによるアレンジアルバムも好評となり、瞬く間に品切れとなった。

 今でも有名過ぎるゲーム雑誌にアルバムとしてピックアップされたことも一つの要因だろう。


 ──それから時は流れ、シリーズの楽曲を纏めたコンプリートCD BOXが発売されたが、なぜか収録していない音源があったり、収納されているBOXがやたらと大きすぎて保管に困るという意見などから名目上な売り上げにはならなかった。

 このBOX専用にアレンジされた曲もあるだけに誠に遺憾である……。


 ──好きなロックバンドQUEENの楽曲を聴きながら『ヘビーだぜ……』とめんどくさそうに言葉を吐き捨て、図太い剣を地面に突き刺し、バトル時には自らが追い求めていた炎が吹き出るその剣を易々と使いこなし、ライバルでもある聖騎士カイのストーカー行為にも負けずに一撃必殺な技を編み出してきたソル。 


 彼はすでに150年は生きているというが、その奇抜な動きとスラリとした見た目は若い青年と何ら変わらない。


 変わっていくのは時代の流れではなく、このゲームのシナリオのように、人として変わり行く心なのかも知れない。

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