第5章 破壊と衝動により、王座に輝いたプレイステーション
第32話 ファイナルファンタジーⅦ(RPG)
ファイナルファンタジーⅦ(以下略FFⅦ)、プレステにて発売。
発売日前からCMや雑誌などで大きく取り上げられ、さらにあの朝の情報TV番組でも紹介され、その映像と物語に子供や大人たちは歓喜し、日本中が大きな旋風となった。
その影響か、発売たった三日にして200万本の売り上げを獲得し、今ではプレステで遊ぶゆえに絶対に外せないゲームとして、有名な作品ともなった。
それから後日に海外ファン向けのインターナショナル版を販売し、原作での不手際な点なども改良された。
──プレステと互角な争いをしてきたライバル機のサターンで、このゲームを販売しなかった理由は色々とあるが、一番の理由はサターンでは大規模で迫力のある3Dのような新作は作れないというのが本音であった。
プレステはこのゲームの発売から本体が大ヒットし、ライバルのサターンやNintendo64をぐんと引き離し、後の次世代機ハードの中で見事に首位の座を掴み取ることに成功したのだった。
──しかし、このFFⅦが発売されても私はスーファミのゲームで遊んでおり、プレステ自体にも興味がなかった。
だが、あの大作ゲームの発売となると、いてもたってもいられないのがゲーマーの心情というもの。
私は疑似体験として当時ハマっていたスーファミのゲーム『RPGツクール』でFFⅦの世界観を作り出そうとしたが、ゲームのボリュームが壮大すぎて、序盤のシーンだけで容量が一杯になり、完全再現を断念した重い想い出がある。
──物語は組織のリーダーのバレットと共にクラウドという雇われの青年がその秘密組織で活躍する部分から始まり、星のエネルギーを燃料の糧とするミッドガルという現場で環境配慮のために魔晄炉爆破テロというミッションを行うが、敵の増兵が思ったほどに多すぎて苦戦を強いられる。
そんな中で街で休養していた散歩道で一人の花売りの少女エアリスと出会う……という恋愛ゲームのような物語だが、蓋を開けてみるといつものFFシリーズ。
これまでスーファミにて6作を製作したシリーズだが、一番変わった所はキャラやフィールドなどが3Dになった所だろう。
プレステの最大限の機能をいかし過ぎ、一部の部分は静止画を採用したり、キャラのデザインが簡素なカクカクな作りだが、シリーズ2位に続く400万本という売り上げを誇り、瞬く間に大ヒットとなった。
──バトルシステムもリアルタイムで流れるシステムだが、今回は時間経過と共にリミットゲージが溜まっていき、満タンになるとリミット技という超必殺技が使える仕組みになっていた。
このリミット技はレベル1から3まであり、最高クラスの4は特殊イベントのみでしか覚えられない。
バトル終了後にはキャラが決めポーズをし、クラウドが大剣を片手で振り回すシーンが流れるが、いつものバトル終了のファンファーレを口ずさみながら、ホウキを振り回していた友人を忘れることはないだろう。
──また今回はマテリアというシステムがあり、このマテリアの宝石を武器や防具、アクセサリーに空いている穴に埋め込むことにより、魔法や召喚獣などの効果が使えるようになった。
マテリアの組み合わせによっては全体に効果が及ぶ魔法などを使用できるようになったりとパズル的な感覚が味わえる。
──今作はミニゲームも豊富にある。
特にクラウドがバイクを乗り回し、追いかけてくる敵が乗るバイクを鉄パイプで妨害する暴走行為のような破天荒なミニゲームは色んな意味で話題となり、後にオリジナルのゲームとして単体で移植された。
──他にチョコボのレースゲームなどもあり、引き連れたメンバーによっては『私をチョコボに乗せてくれないか!』と血気盛んに叫び出すシーンもある。
クラウドもギャンブラーな仲間をもって色々と大変だ。
──だが、こんなにも面白い作品にも関わらず、シナリオはシリーズ最強な泣きゲーな要素も含まれている。
クラウドの口癖の『興味ないね』どころじゃない。
そう、クラウドが恋した女性のエアリスが敵の手セフィロスにより永遠に存在を消されてしまうのだ。
傷心のクラウドはダンジョンをさ迷い歩き、自分の想いと葛藤するのだが、待ち受けていた真実は自分が人間ではないと衝撃の内容だった……。
──私もエアリスがお気に入りでパーティーメンバーの前線に立たせていたのだが、いざいなくなってしまう所には正直こたえた。
ゲームの推しキャラが目の前から消えてしまうことに涙ながらの日々だった。
こうしてエアリスは去り、残りの片方のヒロインのティファを迎え入れるのだが、この女性が思った以上にやんちゃで参ってしまう。
エアリスのような乙女会場まっしぐらという雰囲気も持たず、男勝りで露出のある衣装を着て敵陣に殴り込み。
選択肢次第でエアリスとティファとの分岐ルートができるなど、何とかならなかったのだろうか……。
──セフィロスが徐々に人間味を失って気持ち悪い怪物になっていく部分も何とも言いがたい。
3Dの映像を駆使したその姿は一種のホラーを感じさせる……。
──ラストのセフィロス戦とのバトルは圧巻だが、リミット4の技を発動すると即座に倒せてしまい、何ともつまらない気持ちにさせてくれる。
───エンディングも衝撃だった。
曇り空に覆われ、嵐が吹き荒れる危機的な雰囲気に空から降ってきた巨大な隕石メテオが地表に衝突しそうになるのだ。
その先の物語はなく、バッドエンドで終わり、メテオにより滅びたミッドガルから500年後に……。
緑溢れたミッドガルで獣族のレッドⅧの子供たちが駆け抜けるシーンで終わりを告げ、他のキャラは一切出てこない。
容量不足で他のムービーが作れずこうなったらしいが、いかせん消化不足にさせてくれる……。
えっ、隠し好感度はあるのに、こんな最悪な結末を防ぐマルチエンディングとかはないの? と思ってしまう。
それに反してBGMはオーケストラ調のメロディーが主流で耳に馴染みやすい。
『セフィロス!』と鼓舞しながら歌うテーマソング? は幾度ものプレイヤーの心を揺さぶった。
このⅦは音楽も高く評価され、シナリオと共に優秀賞が贈られた。
──それから時は過ぎ、プレステ4に先行販売としてファイナルファンタジーⅦリメイクが発売。
全ての画像がCG並みの綺麗さになり、バトルシステムなどが変化。
全三部作になる壮大なⅦはここでも一つの分岐点を生み出すことだろう。
そう、続編に向けてプレステ5を買うのかと──。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます