第28話 ガングリフォン2(STG)

 前作と同じくゲームアーツが販売した3Dシューティングゲーム。

 ロシアによるウクライナ侵攻がベースの架空の物語になっており、近年の戦争を予言したキラーゲームとも噂された。


 ──時間系列は前作と同じアフリカで勃発した第三次世界大戦からの流れだが、今回の2は別方向から見たパラレルワールド的な流れとなっている。


 ──前回、初期のサターンの性能を限界まで挑戦した美麗の映像は2でも健在で、さらに作りが細かになっており、ほとんどプレステに近い絵柄にも受けて取れる。


 ──音楽も戦乱の激しい状況をハードロックに変え、ヘビーかつ重厚な味付け。

 しかも曲時間も長めなため、思わず聞き入ってしまったりもする。

 そのせいかサントラも多いに売れた。


 ──2015年、アジア太平洋共同体(APC)で活躍していた日本は度重なる戦争を前にして隣国の中国からの最新鋭の兵器による圧力をかけられた。

 このままでは日本は黙って中国に支配されるという疑念を抱き、アメリカとの和平条約を切り捨て、アメリカとは中立の姿勢で自衛隊の存在を強調させ、驚きの戦争放棄の憲法条例を変更する。


 こうして戦場に積極的に赴き、日本人外人部隊という軍隊を結成することにより、戦車よりも優れた機動性、攻撃力を持ったハイマックスという歩行兵器の開発に成功した。


 ──その機体に乗り込み、汎ヨーロッパ連合(PEU)を相手にし、様々な作戦に挑む日本人であり、海外部隊に配属となった501中隊長。


 プレイヤーは彼になりきり、移動しながら攻撃動作ができる歩行兵器ハイマックスを手足のように動かし、アメリカ自由貿易地域(AFTA)、アフリカ統一機構(OAU)を含めた四つの対極に分かれた戦乱の世を駆けていく。


 ──貨物戦車の護衛、敵の親玉の撃破、制限時間まで建物を死守するなど、物語の軸となる上官の指示に従い、決められた任務をこなすシナリオモード。

 また、配置した敵を全て破壊させてスタート地点に戻るエクササイズモード、二人で対戦するバトルモード、制限時間までに2パターンのマップで敵を破壊するサバイバルモードと様々なモードが楽しめる。


 ──このハイマックスという歩行兵器を使い、四方向に移動でき、前方後方へとダッシュ、斜めになりながら前方にダッシュと戦車とは比べ物にならない機動さを誇り、その気になれば敵の攻撃をするするとかわしながら無防備な背後をとることも可能。


 さらに銃などによる残弾に限りがある武器を使用する攻撃はもちろん、上空にジャンプし、そのまま一定時間ホバリングができたり、ダッシュしながら、上半身の機動だけを変えて視野を拡げたりと本物のロボットを操縦しているような感覚になる。


 ──上半身と脚部の動きが独立しているため、移動する時は足の部分を動かし、攻撃する時は上半身の動作を入力しないといけない面倒な作りでもある。

 それはリアルタイムの戦車と同じ構造で主砲で狙いを定める相手と移動のみに専念するパートナーのような二つに独立した表現と捉えたらいいだろう。


 ──私的に言えば今までのSTGで一番操作方法が難しいゲームかも知れない。


 このリアルな操作は慣れるまで相応の時間が必要となるが、慣れればより戦略的な戦いができる。

 平たく言えば後方にダッシュしながらも前方の方に上半身を動かし、後ろに移動しながら前に攻撃できるということだ。


 ──数キロ離れた敵軍も遠方専用のスコープを見ることで攻撃ができ、遠くに放てば銃やミサイルの軌道が落ちてしまう概念を計算して、ジャンプしてそのまま落下時点に砲撃し、遠くの敵に命中させるという荒業もあった。

 赤外線モニターで深夜の戦闘もでき、日中とは違った作戦を求められたりもする。


 ──もう気分はマクロスで『愛、覚えてますか』と呟きそうになるが、後にこのゲームの開発者がマクロスが大好物でそれを真似て作ったという節に思わず共感してしまった。


 ──なお、玉の補給や機体の修復などは空から降りてくる自衛隊の補給ヘリによって可能だが、その補給時には何も出来ない無防備な状態となり、予め敵を排除してないとそこでゲームオーバーになってしまう。

 補給はヘリが降下して着陸しないとできず、さらに時間帯も限られ、作戦で指示された特定の場所でしか出来ないので、よりリアルな戦況を楽しめた。


 だが、プレステ2の続編のブレイズは補給はアイテム制と変化し、これにより多くのファンから不平不満が出て、この2のような人気にはならなかった……。


 ──シナリオモードなどの戦乱の状況をパワーメモリーに保存することも可能で、敵の機体を粉砕し、ラストに敵軍のロボットと死闘を繰り広げた状況をリプレイモードとして鑑賞することも出来た。


 カメラ視点を色々と変更でき、上空から眺めてみたり、敵兵の視点になって攻撃される瞬間を観れたりと、このモードだけでも十分に楽しめる。

 手元でカメラワークを固定でき、さらにランダム表示も出来る。


 砲弾を放つと閃光がほど走り、銃口からは煙が吹き出し、高速移動中は草原が振動に触れられ、左右に揺れるというゲームとは思えない凝った演出に質感と、これはもう一本の映画を観ている気分である。


 ──二人同時対戦も可能だが、その場合、別売りの対戦ケーブルとそれに繋げるもう一つのサターン本体とこのソフトが必要である。 

 ……となるとテレビも、もう一台分必要となるだけに……学生の身分には辛い失費であろう。


 ──ロシアのウクライナ侵攻が現実のものとなり、今年こんねん、より人気が急上昇しているゲーム、ガングリフォン。

 2になって様々な部分が改良され、伝説を越えたゲームともなった。


 ──ミリタリーファンには堪らない凝り固まったマニアックな世界設定だが、何の予備知識がなくても、ハイマックスで色々と戦略を『ねるねるねー』と練っていれば自ずと答えは見えてくる。


 98年というサターンという世代という、昔ながらも先の歴史を見据えた物語。

 ゲームは子供が主に楽しむものという概念を変え、大人や評論家までも唸らせるガングリフォンという歴史とリアルなゲームの設定。


 まさにこのゲームは、未来を的中させた神のようなゲームであることは間違いない。



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