第27話 メタルブラック(STG)
2040年過ぎ、木星付近による意図的な爆発から地球へと巨大な隕石の雨が降り注ぎ、多数は核兵器で相殺できたものの、その量を防ぎきれず、地球は隕石の攻撃により、壊滅の時を迎えた。
その残状を見計らい、木星から程近い未知の生物体、THEネメシス集団と呼ばれた敵が地球を襲い、地球崩壊へと侵略をしていく。
そんな宇宙からの敵に対して地球防衛軍は最終兵器である戦闘機ブラックフライを開発。
だが、二万機にも及ぶ量にも関わらず、ネメシスには手も足も出なかった。
地球はこのままアイツらに屈するしかないのか。
政府が諦めかけたその時、一人のパイロットの青年、ジョンが周囲の反対を押しきり、ネメシスを滅ぼすために無許可でブラックフライに乗り込んでしまう事態が起こる。
最終平和兵器、僕らはもう後には戻れない……。
──全6ステージ、合間にボーナスステージが二つあるタイトーが開発した2D横スクロールシューティングゲーム(以下略STG)である。
──通常のショットで攻撃しながら、画面上に浮遊してるニューロンという球体のエネルギーの微粒子を眼前の敵を滅ぼすために集めてエネルギーをアップさせ、採ることによってショットの攻撃力が上がる。
このニューロンを集めていくとレベル7までゲージが溜まっていき、溜まったパワーに応じて集束か、開放のビームを放つことも可能。
ビームを放つと攻撃力は最小に戻り、1から集めるの繰り返しである。
しかし、攻撃力が上がる反動でスピードも遅くなるので適度にビームを放出していった方がゲームを進めやすい仕組みとなっており、エネルギーが溜まるとニューロンの量も自然と減ってくる。
お前さん、空気を読んで突っ込めということなのか……。
さらにこのビームは敵も使用してきて、各ステージのボスもニューロンを吸収し、極太なレーザーを放ってくる。
このボスのレーザーはプレイヤー側のレーザー攻撃でぶつけ合うことも可能で、ぶつかり合うと二本のレーザーが干渉して巨大なブラックホールが発生する。
そのホールは最終的には弱いビームのエネルギーの方へ移動し、相手に大ダメージを与えるのだ。
自機側にはバリアなどの機能がないので向かって来られたらほとんど一発でアウトだが……。
──街並みが風化し、廃墟となった砂漠の世界から物語は始まり、地球防衛軍の戦闘機や、地球軍がネメシスと命名し、ゾロゾロと妖怪のように現れた生物を相手に懸命に戦うジョン。
地球人から下手に刺激をするなと猛反対のサインがあちこちに出ているのを無視して……。
──哀愁の漂うBGMは死に急ぐジョンの後ろ姿によるメッセージなのか。
その行く末は彼(プレイヤー)にしか分からない……。
──このゲームはとにかく出現する敵が特にボスの姿がグロい。
ステージ1ラスト、お腹の中に異形のグリグリと動くモンスターを抱えながら、『ギャピー!』と奇声を叫んで極太な麺(レーザー)を放つそのボスの姿に何のホラー映画なのかと頭を捻ってしまう。
時にグロテスク、さらにサイコホラー。
ボスによっては自身の頭を脱いで、イタい部分が剥き出しになるという箇所や、リアルな巨大なダニのような生物がうろちょろと動く行為もあり、はっきり言って正統派なSTGのイメージは全くない。
しかもボスがやられると灰のような色になり、エイリアンもどきな雄叫びを上げ、体がグチャグチャにひん曲がって消えていく。
その殺られ姿は某世界地図を表現してるとか……。
お菓子を食べながらプレイして、このくらいのグロさなら平気と気楽にプレイしていると悲惨な虹色の目に遭う。
──アイテムもショットをパワーアップさせるニューロンしかなく、スピードアップもせず、バリアのアイテムもない。
最大限に溜めて放出したレーザーを集束させて真っ向方にレーザーを放ったり、拡散させると威力は弱まり、画面上の敵玉を打ち消す効果があるが、それも一瞬のみ。
さらに前方に伸びたレーザー以外には無敵の部分はなく、敵弾や地形に当たると撃墜する。
例え、強力なレーザーを放っても横から攻撃されたらすぐさま終わりである。
ボス戦とかが主にそれで、強力なレーザー同士で対抗しているのにボスの流れ弾を食らって、『はい、そこで試合終了』という空しいパターンもある。
──敵の玉も米状の大きさで避けづらく、自機の当たり判定も大きく、レーザー放出中は移動速度が鈍くなるため、一体どうやってこの修羅な戦場を生き抜いていけばいいんだ? とか、敵の動きがパターン化してなく、予期せぬ動きを見せるので、もう付き合ってられない感もある。
恐らく私のプレイしたSTGで一番難しい難易度かも知れない。
──二人同時プレイも出来るのだが、それはあくまでもおまけで、少しも戦いが楽にはならない。
ニューロンの取り合いでもめたり、理不尽な敵からの攻撃で瞬殺されるのもあるので、二人で協力して仲良くプレイではなく、単なる弾除けの壁としか思われないというシビアなゲームでもある。
何にせよ、みんな生き残るのに必死だ。
──BGMはレイヤーセクションなどのタイトーのゲームでは欠かせなくなったインストバンド、ZUNTATA。
今作品は破滅した地球という設定に基づき、切なくもの悲しい音楽が大半を占めるが、ホラー的なBGMも時にあり。
ステージ1のボスの曲がまさにその代名詞で幽霊がとりついたようなサウンドに背中がゾクゾクとなる感覚にされるだろう。
後にZUNTATA名義のアレンジサントラも販売され、校内で和やかに授業をしていたら、突然隕石が降ってきて地球が壊滅したという物語をイメージしたサウンドのみのドラマなども収録され、このゲームの人気さを不動のものにした。
──ゲーセンでの稼働は91年代と古きゲームでサターンに移植されたのが四年後。
映像は古臭いがSTGファンの間では伝説のゲームと呼ばれ、プレステで移植された。
しかし、一部の攻撃方法が出来なくなったなど、不便な点もある。
だが、前途にも告げたが、このゲームではボスとのレーザーの撃ち合いが一番の見物であって好評を受け、後にタイトーの『レイストーム』や『Gダライアス』などにもこのレーザーによる攻防のシステムが追加された。
──このゲームには衝撃な展開のマルチエンディングがあるという噂もあるが、あまりにも高難易度のSTGであるがゆえに、クリアもろくに出来なかった記憶が甦る。
サターンでの移植度は高く、BGMも音楽CD並みにクリアだっただけにそこが惜しい……。
演出と映像に多額の予算を使いきったため、細かいゲームバランスは取れなくなったらしいが、大迫力のレーザーで一部のコアなプレイヤーの心を貫いた……そんなマニアックなゲームである……。
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